[雑感]インデックス投資への批判 -分散させ過ぎに対する反論

雑談

分散させすぎで、わざわざ駄目企業にも投資する欠点があると言われますが、実際はどうでしょうか

インデックス投資批判の典型例

外部リンク:All About マネー 分散投資の落とし穴、分散させすぎは逆効果でデメリットあり!

古いですが、検索すると上位に表示される記事です。

すごくたくさんの銘柄に投資するということは、銘柄選別がかなり甘いということです。すると成長性のある優良企業だけでなく、ダメダメ企業が紛れ込む恐れも多くなります。上場企業だからといって、すべてが経営戦略がしっかりしていて将来性があるとは限りません。ダメダメ企業は値下がりのリスクを大きくしてしまいます。利益を得るために投資を行っているのに、わざわざダメダメ企業に投資する必要はないと思いませんか。

出典:分散投資の落とし穴、分散させすぎは逆効果でデメリットあり!

簡単な文章で、ざっと読むと説得力ある主張で説得されそうな感じがあります。

しかし、反論は簡単で、S&P500や日経平均のような代表的な指数は、多くの上場企業群の中から、選定基準により、選ばれた500社や225社に投資されていているので、「銘柄選別がかなり甘い」というのは詭弁です。

また、「ダメダメ企業が紛れ込む恐れ」についても、選定後、事情の変化により、ダメダメ企業であることが露呈したとしても、定期入れ替えで除外されることで、担保されています。

よって、一見正論に見えても、何も語っていないのと同じです。

フラクタルの視点

時価加重平均型インデックス投資における銘柄選択の意思決定国政と、企業統治との比較でみてみます。

一部分を抜き出しても全体と似た形になる「自己相似性」を示す「フラクタル」という幾何学上の概念があります。社会構造の中にもフラクタルは見られ、この意思決定にも現れています。

国政・企業統治

まず、国政において、民主主義国家では、自由選挙により意思決定がおこなわれます。ここでは、国民に等しく選挙権が付与されており、選挙を通じて多数意見から、少数意見までが国会を通して反映される仕組みが取られています。特定の少数人が権力を独占する専制国家とは異なります。

次に、企業統治において、株式会社では、持ち株数に応じて議決権が行使される株主総会に会社の重要事項を決定する権限が与えられています。全株主が参加します。

これらに共通するのは、少数者を排除しないこと、換言すれば、優秀な特定の人に権限を集中させないことです。多数派が常に正しいとは限らないし、権力の集中は得てして馴れ合いや腐敗につながるからです。最近、テレビ局や大学でぴったりあてはまる事件が続いていますね。

時価加重平均型インデックス投資における銘柄選択

ベンチマークするインデックスのコピーではあるものの、時価総額に応じて保有する結果、時価総額が小さい銘柄も排除することなく保有します。

インデックス投資の考え方は、国政や企業統治と同様に、少数者・少数意見にも存在価値を認めているものであり、民主主義を基調としている社会構造とも親和性があるといえるのです。

有名な投資家、ウォーレン・バフェットが富を築いた手法は、「株式集中投資」です。バフェットは複数の株式銘柄に投資していますが、そこにダメダメ企業など紛れ込ませません。優良な企業を選びに選び抜いて、それらだけに集中して投資したのです。

出典:分散投資の落とし穴、分散させすぎは逆効果でデメリットあり!

誰かが、恣意的に特定の銘柄を選別するアクティブ投資は、独占、少数排除の点で、特定の少数人が権力を独占する専制国家と似たような構造となります。

民主的な意思決定は完璧か

これについては、大戦時の英国首相チャーチルの有名なこの言葉があてはまります。

民主主義は最悪の政治形態である。ただし、過去の他のすべての政治形態を除いては。

1947年11月11日英国下院演説 ウィンストン・チャーチル

体感的に、民主主義的な意思決定に不安を覚えることもままあります。国政であれば、大学教授のような専門家から、三権分立って何?という方まで平等に一票です。企業統治についても、

当該議案において提案されているのは、なんとオフィス内の便器の和式化を定款に明記すること。その理由は、破綻寸前の野村HDは今が「ふんばりどき」であり、和式便器に毎日またがって下半身のねばりを強化すれば、かならず破綻は回避できる…というものであった。

出典:企業法務ナビ 続・「物言う株主」たちの戦い-ここが「ふんばりどき」?-

このような株主提案がなされる体たらくです。

民主主義的な意思決定は完璧でもなんでもないが、多様性に価値を置く以上、ベターな選択肢もないわけです。同じことは、少数銘柄も包含する時価加重平均型のインデックス投資にも、あてはまるのではないでしょうか。

政治において、独裁政治より民主主義に価値を見出しているならば、資産運用では、アクティブ投資よりも、インデックス投資ということになります。ただ、これも詭弁といえば詭弁です。政治と資産運用は関係ないといえば関係ないからです。なんとでも主張できてしまうので、人の言動には本当に注意が必要です。それでも、この構造上の類似性は知っておいて損はないと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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