日本経済新聞オンラインに「新NISA活用完全ガイド」がシリーズ物として掲載されています。この種の記事が増えてきましたが、惑わされないよう要注意です。
記事内容
外部リンク:日経新聞オンライン 新NISAで起きる3つの「投資のパラダイムシフト」新NISA活用完全ガイド(2)
記事中では、3つのパラダイムシフトが説明されています。
1.商品の「入れ替え」ができるから、「大化けを狙う」が可能になった!
2.非課税保有期間が「無制限」になったから「『永久税金ゼロ』の高配当投資」が可能になった!
3.非課税投資枠が「生涯」のものになったから人生設計に合わせた「カスタム資産形成」が可能になった!
それぞれ冷静に判断してみたいと思います。
大化けを狙う
いろいろな投資手法があって然るべきで選択は個人の自由です。新NISAでは、枠の復活が新設されたため商品の入れ替えができるのは事実です。大化けを狙うことができるのも事実です。
加えて、新NISAでは、SBI証券・楽天証券が、日本株のみならず米国株・海外ETFの売買手数料の完全無料化を表明しました。
これだけの好条件が揃うと、儲けの機会が飛躍的に拡大し、売買して一発あててやろうと射幸心を煽られそうになります。
しかし、記事でもしれっと触れていますが、枠が復活するのは、翌年で成長投資枠なら年間240万円限度です。売却損が出ても損益通算もできません。
そもそもNISA制度があろうがなかろうが、大化けを狙った個別株投資は、特定口座や一般口座でいつでも自由にできていたわけです。これが容易ではないことは周知の事実で、新NISAで「狙う」ことができるようになったからといって、難易度が変わるわけではありません。無論、運よく当たれば、出口の税金で大きな恩恵は受けられますが、運よく当たるか否かはNISA制度関係ありません。
永久非課税の高配当投資
確かに、国内の配当課税約20%が永久非課税というのは魅力的です。
しかし、個別株が永久に「高配当」で居続ける保証はどこにもありません。また、概して高配当株は、成長の機会が乏しいから利益を配当に回していることが多いです。トータルリターンでは、時価加重平均型インデックスに劣る可能性が高いことは、実際に米国ETFのVTI・VOOとVYMの長期比較でみてとれます。
永久税金ゼロの高配当投資が可能になったのは事実で、特定口座と比較すれば魅力は高まりますが、他の手段との比較の視点は忘れるべからずです。
カスタム資産形成
非課税枠が恒久化して、売却しても、枠の翌年復活もなされるので、柔軟性が増したことは事実です。
しかし、カスタムという言葉に惑わされてあれこれ売買することにならないようにすることが寛容です。カスタムできることと、カスタムすることは別問題です。
新NISAに惑わされないように
過去にも、記事で触れましたが、非課税枠恒久化で何か夢があるような記事で積極的な売買を推奨しているかに見える記事を目にすることが多くなってきています。
しかし、大多数の一般人にとっては、低コストの時価加重平均型のインデックス投信が中心になるはずです。つみたて枠・成長投資枠いずれも、埋められる範囲でこれらに引き続き投資していけば必要十分。分配金も枠を消費することなく内部で再投資され、非課税枠を最大限活用できます。
新NISAでなにか特別なことを推奨する記事に前のめりにならないよう注意が必要です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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