[家計見直]エネルギー補助金の内容と規模の整理

支出見直

政府にて「燃料油価格激変緩和対策事業」「電気・ガス価格激変緩和対策事業」がおこなわれています。両者は別々の対策事業です。2023年9月末まででしたが、12月末まで延期されました。来年度の家計管理上、本来の価格はどのくらい値上がりしているのか把握するためそれぞれの事業内容を整理しておきます。

価格対策延長

2つの価格緩和対策が並行して走っていますが、年末までそれぞれ延期されました。早速ガソリン価格については、8月7日から、補助金が拡充され、価格下落が見込まれるそうです。

外部リンク:日経新聞オンライン ガソリン186.5円、最高値更新 7日から補助拡充で下落も

制度概要

いずれも、直接消費者へ補助金として支出するものではありません。燃料(ガソリン、軽油、灯油等)については、石油精製業者・輸入業者などの元売り業者、電気・ガスについては、電力・ガス会社など小売業者へ、事業者の申請に基づいて、補助金が交付される仕組みです。

管轄は、経済産業省資源エネルギー庁です。
補助事業者として、株式会社博報堂が選定されています。

開始時期は、以下の通り、1年のギャップがあります。
燃料油価格激変緩和対策事業」(以下ガソリン補助と省略)2022年1月-
「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(以下電気・ガス補助と省略)2023年1月-

参考外部リンク:経済産業省ホームページ

制度趣旨

ガソリン補助は、コロナ関連の経済対策の一環としてスタート、電気ガスは、ウクライナ侵攻等を契機とした世界的なエネルギー高騰を契機としていますが、今となっては目的は同じになっています。
両者ともに、急激な価格変動の抑制を目的としており、値下げ目的ではありません。

ガソリン補助

コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」(令和4年4月26日 原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議にて取りまとめ)に基づき実施する施策であり、原油価格高騰が、コロナ下からの経済回復の重荷になる事態を防ぐため及び国際情勢の緊迫化による国民生活や経済活動への影響を最小化するための激変緩和措置として、燃料油の卸売価格の抑制のための手当てを行うことで、小売価格の急騰を抑制することにより、消費者の負担を低減することを目的としています。

https://nenryo-gekihenkanwa.jp/

電気・ガス補助

世界のエネルギー価格高騰により、日本でも電気・都市ガス料金が値上がりする今 。さらに、春 以降、電気料金の値上げが想定されており、家庭や企業などの負担増加が見込まれます。この急激な値上がりの影響を軽減するため電気・都市ガスの使用量に応じた値引きが春に先駆けて1月 ※ から始まりました。

https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/

補助の効果

出典:経済産業省ホームページ https://www.enecho.meti.go.jp/category/gekihen_lp/index.html

(参考)2022年補助開始からのガソリン価格と補助なしの価格

ピーク時に補助がなければ、リッターあたり200円超まで値上がりしていた。

出典:経済産業省ホームページ https://nenryo-gekihenkanwa.jp/

(参考)2019年からのガソリン価格とドル円相場の推移

冒頭の日経新聞記事にもありますが、円安とともに当然価格は上がります。⇑の位置が上記グラフの2022年です。

下記リンクサイトよりブログ主作成

外部リンク:日本銀行時系列統計データ検索サイト (ドル円相場)
外部リンク:統計局統計データ (東京都区平均ガソリン価格)

投入された税金規模(2023年9月まで)

2023年度は、もともと内閣が閣議決定で使用できる予備費(コロナ・物価対策、ウクライナ)に5兆円計上されていましたが、かなり大きいと言えるのではないでしょうか。単年度の一般会計歳入におけるその他税収10兆円規模、歳出における、防衛費公共事業文教科学振興費が、それぞれ6兆円規模でそれらに相当する税金が投入されています。

ガソリン補助 :6兆2,000億円 出典:首相官邸 総理の演説・記者会見など
(2022年1月~2023年9月)
電気ガス補助 :3兆 764億円 出典:東京新聞web
(2023年1月~2023年9月)

出典:財務省ホームページ わが国の税制・財政の現状全般

まとめ

コロナやエネルギー高による景気減速を和らげる目的は理解できますし、個別の家計はここ1年以上恩恵を受けています。

しかし、トータル10兆円超の税金投入はインパクト大きいです。これほどの税金が投入されていることは周知されているのでしょうか。

無理して結局、他のところで増税では、意味ないです。仮に、余力があるなら、目先の対処療法だけではなく、減税や少子化対策はたまた防衛費確保など、長期的視点で将来を見据えた税金の用い方も比較選択肢に入るのではと思います。

これまで十分機能していたので2023年9月予定通り終了もあったかと思います。しかし、現在、円安も進んでおり、やめづらかったのでしょう。この種の補助は終了すると非難されるし、続けると際限なくコストが膨らみ続けるため、やめ時を見定めのは、政府として難題です。

有権者としては、選挙前にいつものバラマキ合戦とならないよう、補助金支出であれば、税金投入の目的の正当性と費用対効果は、全体とのバランスで冷静に判断する必要があります。延長したから評価する、終了したから批判するといった単純思考は危険です。原資は税金です。

資産運用において、自己資金をどこにいつ投資するかは悩みに悩んで自己責任で決定します。同じように収めた税金についても、どこに投入すべきか考えることは、個人の資産運用と同義です。資産運用において絶対に欠いてはならない視点です。資産運用における選挙権の行使はS&P500か全世界かという問題と同様に、もしくはそれ以上に重要です。

とはいえ、まずは生活なので、足元の家計管理の点からは、現在のガソリン代、電気・ガス代は、実態を反映していないことをよくよく念頭に置いておく必要があり、制度終了時も見据えておかなければなりません。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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