【雑感】不思議な記事「経営学の専門家が明かす、自らの「超保守的な資産運用」「アクティブな投資が長期的にペイしないことは学術的に実証済み」

雑談

デイリー新潮の抜粋記事ですが、何とも不思議な感覚に襲われる記事なので共有します。背景事情に考えを巡らすことは、思考訓練にもなり面白いです。

違和感ない内容

外部リンク:デイリー新潮 経営学の専門家が明かす、自らの「超保守的な資産運用」 「アクティブな投資が長期的にペイしないことは学術的に実証済み」

一橋ビジネススクールの経営学の特任教授の方が資産運用について語ってられます。

この方がいう超保守的な運用内容は、

・効率的市場仮説という学術的実証を根拠に、アクティブ投資は、ペイしないと判断
・個別株運用は、合理的な資産運用ではなく、ハラハラドキドキを楽しむ「プロセスのエンターテインメント」
・10年ほど前までは普通預金100%。現在は、25%は現金の普通預金で、残りの75%は信託銀行で「長期」「分散」「低コスト」「低リスク」で運用

異論はありそうですが、インデックス投資中心の方なら、よく目にする言説でありブログ主はここまでは、違和感はないです。不思議なのは、この先です。

不思議な内容

2点不思議な内容が登場しています。

その1コスト意識

「低コスト」を重視しているにも関わらず、信託銀行に運用一任している点です。ファンドラップなどの一任運用の高コストは言わずとも知れたもの。少なくとも、経営学の専門家ならコストには敏感なはず。

さらに、NISAについては、一般の方がインデックスファンドを利用することについて好意的な見方を示されるも、ご自身はどこに投資しようか考えたくないので利用しないとの結論です。ここも経営と税制は切っても切れない関係にも関わらず、明らかに有利な非課税制度に無関心なことは全く持って理解できません。

その2運用の矛盾

運用担当者に任せているのは、そもそもポートフォリオの中身について考えるのが「面倒」で「煩わしい」からです。担当者の仕事はプロとして国内外のさまざまな情勢を見ながら、市場への影響を見極めること。いまならバイデン米大統領の撤退が市場に与える影響というのが少なからずあるのでしょう。そういうことを考えたくないので、担当者に任せています。

出典:経営学の専門家が明かす、自らの「超保守的な資産運用」 「アクティブな投資が長期的にペイしないことは学術的に実証済み」

アクティブな投資を否定されているのに、考える投資=担当者に任せるアクティブ投資を志向しています。謎です。

推測

効率的市場仮説に信を置き、「長期」「分散」「低コスト」「低リスク」を志向するなら、NISAを最大限利用しての、低コストのインデックス投資に落ち着きそうなものが、このようなちぐはぐな結論になっている理由を推測してみると、

<否定的な推測>
・資産運用における効率的市場仮説や、「長期」「分散」「低コスト」「低リスク」についての理解不足。昨今のネット証券や投資信託の事情については知識が乏しい
・ビジネススクールの特任教授の自尊心から、素人でも語れるインデックス投資を語りたくなかった
<肯定的な推測>
・高コスト非合理的な部分は承知しているが、本業に役立てるという属人的な事情から、それらよりも資様々な業界との人的コネクションを優先している
・一般の方(記事中ででてくる表現)と比べて、本業が極めて忙しいので、あれこれ運用に割く時間はなく、他人に任せざるを得ないから、著者の立場を前提とすると合理的
・既に有り余る資産があるので、真の資産運用の必要性はない。故に管理も含めて超保守的な運用で問題ないし、相対的なコストは低いと認識されている

など考えてみましたが、何とも釈然とせず不思議な気持ちにならざるを得ませんでした。

雑感

さらに別の観点から、記事で言いたかったのは、「長期」「分散」「低コスト」「低リスク」を実現する運用手法の方ではなく、個別株投資はペイしないという方かも知れません。

学術として経営学を研究しMBA予備軍に教えるほど極めている専門家ですら、個別株の売買での利益には直結しないわけだから、素人が研鑽をして個別株投資しても、意味ないよということを強調したい記事だったかも。

まあ本の抜粋記事ゆえ、このごく短い記事だけであれこれ邪推することこそ意味がないのですが、いろいろ考えを巡らせるのも悪くはないと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

コメント

  1. k より:

    いわゆる 上級国民なわですよ 支配層ですからね  旧華族