マネー現代に面白い記事が掲載されていました。これを読んでブログ主含むインデックス投資を主力にする方は、心揺らぐでしょうか。
記事概要
外部リンク:マネー現代 [雑感]京大名誉教授が「投資初心者」にあえて「投資信託」をすすめない「5つの理由」
分散投資が図れるといっても、日本の株価指数(日経平均株価やTOPIXなど)に連動する投資信託の場合、将来性のある企業も凡庸な企業も投資対象になっている。このように企業であればなんでもかんでも買うのは、長期保有の観点からの分散投資ではない。
このあたりだけピンポイントで読むとよくある妄信的にインデックス投資を否定する駄記事かにみえます。
しかし、この記事の著者の経歴はすごいです。国内最大手の生命保険会社で長年資産運用実務に携わった後、大学で学術的に証券市場を研究され、現在は、京都大学成長戦略本部・証券投資研究教育部門 客員教授という立場にあります。
日本人で、これだけの実務と学術研究、双方とも経験しているような方は、本当に稀有であり、このバックグラウンドをもつ方の記述はとても重いものにみえてしまいます。
2,000社を超える上場企業の中の選ばれた225社の日経平均株価すら眼中にない物言いは何ともすごいです。
京大川北/JPX日本株指数
外部リンク:日本取引所グループ 「京大川北/JPX日本株指数」の算出開始について
京都大学産官学連携本部
・ 京大川北/JPX 日本株指数は、日本株の長期投資に資するように、かつ市場平均以上の
出典:京大川北/JPX日本株指数 指数算出要領
パフォーマンスの獲得を目標に開発された指数である。
・ 京大川北/JPX 日本株指数は、東証 33 業種における「銀行業」、「証券、商品先物取引
業」、「保険業」、「その他金融業」を除く全東証上場企業を母集団とし、売上高成長率、
製品サービスの利益率(独自性)、投下資本効率性、株主資本効率性、資本構成、海外展
開力の水準及びこれらの安定性を基準として、京大が選定した銘柄を算出対象とする。
・ 京大川北/JPX 日本株指数の算出対象数は、原則として 200 銘柄である。
この方、日本証券取引所と共同で、長期的に市場平均以上のパフォーマンス獲得を目的とした指数まで公表されています。
金融業を除いた業種から200社均等配分型、選定基準として、財務諸表を重視しており、伝統的な時価総額加重方式とは異なる定量的なルールを策定して機械的に投資銘柄を選定するいわゆるスマートベータ指数に区分されます。
面白いのは海外展開力が基準に含まれている点です。先のブログ記事では、アメリカ個別株を推奨されていましたし、日本株とはいえ海外マーケットを重視しているよう。
本指数は終値のみ公表のためETFは組成できず、また本指数に連動する投資信託も調べた限り発売されていないため実際に投資できませんが、公表以来の1年半ほどのパフォーマンスはTOPIXとほぼ同じです。ただ、上記リンク先に掲載されていたもう少し長期の過去の指数パフォーマンスは、金融業除くTOPIX指数を圧倒しています。
インデックス投資は
こうしてみてみると、何だか時価加重平均型のインデックス投資より確実に優れた投資手法が、存在するかのように思えてきそうです。
しかし、落ち着いて考えると、個別株に限って言えば、このような実務経験も学術的バックグラウンドを持ち合わせた超人の真似をしても、我々一般人が敵うわけがありません。市場参加者はこんな方で溢れています。
また、記事中のインデックスは、「日本の株価指数」に限った話をされています。日本の株式市場は世界全体で見るとごくごく限られた比率を占める過ぎません。全世界株式や先進国株式の時価加重平均型の指数に連動する投資信託やETFで簡単により分散投資が可能です。日本株に制限して、「海外展開力」を気にする必要はありません。
さらに、伝統的な時価加重平均型のインデックスを超え続けるスマートベータ型の指数はお目にかかれていません。そのようなものが存在すれば、あっという間に世間に周知の存在となり、結局平均へ回帰していくのではないでしょうか。
一般人がどう頑張ってもこのような超人の方と伍していくことは困難ですし、同じような人によって運用する数多あるアクティブ投信がインデックス投資にほぼ勝ち続けられないという簡単な結論に立ち戻れば、隣の芝は青く見えることはなくなると思います。
そりにしても、すごい経歴でアグレッシブな活動されている方なので、興味があれば学習の一環として著作を読んでみるのはありかも知れません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント