信託報酬に着目した良記事がありましたので紹介します。
記事概要
外部リンク:FRIDAY DIGITAL 「全世界株インデックス」でも30年で430万円の差が…投資のプロが明かす買ってはいけない投資信託
著者は、様々な媒体で金融関係の情報発信をされている方です。よく記事をお見かけしますが、中立的な立場を徹底されていて、消費者の立場からはありがたい発信をされていると思います。
本記事でも、投資信託の信託報酬に着目し、僅かな差の長期投資への影響を淡々と解説されており、腑に落ちる内容となっています。
表題にある30年間で、430万円の差は、eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)と、eMAXIS全世界株式(俗称FAT)の差です。月5万円☓30年NISA口座で積立投資し、年率5%の収益を前提に、信託報酬の差 約0.6%がもたらす運用差異です。
たかだか0.6%ですが、430万÷30年÷12ヶ月≒11,944円と、運用期間で割ると月1万以上の差異です。同じ会社で、運用対象もマザーファンドも同じで、この結果は驚きですね。
信託報酬含む経費率は、運用成績に大きく影響するとよくいわれますが、こうしてみるとわずか0.数%の影響の大きさをあらためて実感します。
購入時手数料がありかつ、信託報酬1%超のアクティブファンドが、ほとんどインデックスに及ばないということが肌感覚でわかります。
投資額と実際のコスト
もう少し別の角度からもみてみます。eMAXIS Slim全世界株式の信託報酬とその他費用をあわせたおよその経費率と、一般的なアクティブファンドの経費率で、1年間でどれだけ手数料を払っているかの保有額別の比較です。
NISAの年間最大投資額360万や最大総投資額1,800万でも、結構な費用がかかっています。一般的なアクティブ投資信託だと結構な額です。これが10年、20年と続けば、ご覧の通りやはりコスト差は膨大になります。%ではなく、実額で考えることの重要性がわかります。
もし、NISAの枠を上限1,800万円、経費率1.5%の投資信託で埋めると、コストだけで2万2,500円/月です。コストが割高の投資信託の長期投資の実態です。
月ベースや、日ベースで換算するとより実感しやすくなります。自動車や家電と同じです。
保有額 | 経費率 | 実額 |
100万円 | 0.15% | 1,500円 |
1.5% | 15,000円 | |
360万円 | 0.15% | 5,400円 |
1.5% | 54,000円 | |
1800万円 | 0.15% | 27,000円 |
1.5% | 270,000円 | |
3000万円 | 0.15% | 45,000円 |
1.5% | 450,000円 |
昨今、劇的に下がってきて意識する機会も減った感がある投資信託のコストは、現在も実は小さくないことを肝に銘じておく必要があります。
余談eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)の信託限度額
ここからは、余談になります。eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)の経費率を確認しているときに、交付目論見書で信託限度額は、5兆円と知りました。
直近で2兆7,000億ほどの預かり資産がありますので、超えたらどうなるんだろうと調べていたところ、直近2024年1月に約款変更で2兆円から5兆円に拡大されたばかりとわかりました。ちなみに信託金は1.7兆円ほどだそうです。
上限額変更は、運用会社で簡単にできるようです。勉強になりました。心配は無用です。ちなみに、eMAXIS Slim S&P500の方は、現在10兆円が上限でした。
外部リンク:三菱UFJアセットマネジメント 【eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)】信託金の限度額の引き上げ(予定)について
過去日本の公募投資信託でもっとも、保有資産の多かった海外債券アクティブのグローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)の最大預かり残高が5兆7,685億でした。最大更新の日が来るかもしれませんし、インデックス投資も一時的なブームで終わるかもしれません。時代の移り変わりは予想できません。
ただこれからどう時代が変わろうとも、実験的にでもFIREに導いていただいたインデックス投資への感謝の気持ちは変わらないと思います。
最後まで御覧いただきありがとうございました。
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