[米国ETF]じゃじゃ馬SPYDを乗りこなす

雑談

ネタ回です。SPYD66%とVIG34%のポートフォリオを組むと SPYD設定来では、VYMの値動きとほぼ一致します。不思議なものです。VIGを追加すれば、SPYDを売却することなくポートフォリオをVYMに近づけることができます。

各ETFの概要

いずれも、アメリカ株、ETFとして広く紹介されていますので簡単に概要だけまとめます。

SPYD -じゃじゃ馬

正式名称は、SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF。S&P500に採用されている株式の中の配当利回り上位80社の値動きを示すS&P 500 High Dividend IndexをベンチマークとするETFです。23年6月22日の時点では、配当利回り4.98%高配当ゆえ、日本ではよく記事を目にしますが、アメリカ本国では不人気です。

ベンチマークの性質上、利益は配当に回すしか使い道がない非成長企業や、業績悪化で株価が下落しているため配当利回りが高くなっている企業などが入ってしまいがちです。投資手法としていわゆる逆張りに近いです。

さらに、80社均等保有のため、相対的に規模の小さい企業への投資が多くなり、日々の値動きも荒くなりがちです。年間配当もばらつきが大きいです。

いいとこがなさそうですが、何と言っても天下のS&P500採用銘柄が対象であるため、健全性はここで担保されるとはいえます。

かなりネガティブことを書いていますが、王道インデックス以外の単独銘柄中ブログ主の投資額最大のETFです(早期退職前、配当に前のめりの時期があり・・・・、今は処遇について最も頭を悩ませています)

VIG -サラブレッド

正式名称は、Vanguard Dividend Appreciation ETF。2021年にベンチマークが変更され、今は、S&P U.S. Dividend Growers Indexをベンチマークとしています。こちらは、10年以上連続増配する企業の値動きを表すインデックスですが、SPYDとは異なり、時価総額加重平均であり、かつ10年以上増配する企業のうち、配当利回りが、上位25%の企業を対象から外しています。配当が高くなっていることは成長率が低下する懸念ありとの思想で、SPYDとは真逆のインデックスです。

23年5月31日の時点の配当利回りは1.91%です。長期ではS&P500と似たような値動きをして、配当もほぼ毎年増配されます。S&P500よりも下落率が小さいことが多く、安定性が魅力です。

つい先日、SBI VシリーズでこのVIGに投資する投資信託が設定されました。

とても魅力的なETFですが、トータルリターンを見ると素直にS&P500でいいのではという懸念を払拭するほどの魅力は見いだせないところが、欠点といえば欠点です。

VYM -農耕馬

正式名称は、Vanguard High Dividend Yield ETF。ベンチマークは、FTSE High Dividend Yield Indexで、これは、大型の高配当バリュー株の値動きを示すインデックスです。VIG同様に時価総額加重平均型で、投資対象は450社以上に分散されています。

23年5月31日の時点の配当利回りは3.31%です。トータルリターンでは、S&P500に劣りますが、毎年着実に増配し、かつキャピタルゲインもそこそこある安定型です。

直近の安定した毎年の増配率をみると、配当目的なら、長期的には、SPYDよりも配当利回りが高くなる可能性が高そうです。

オールラウンダーですが、やはりトータルリターンでは、S&P500に劣るところが欠点です。

SPYD(66%)+VIG(34%)≒VYM

いつものPortfolio Visualizerを利用させていただきます。SPYDの設定上2016年から約7年半のドルベースの配当再投資の値動きです。

SPYDとVIGは、構成銘柄が重複していないことが多いためでしょうか。じゃじゃ馬SPYDが、VIGにより中和され、疑似VYMになりました。ちなみに配当利回りは、SPYD66%+VIG34%の方が当初は明らかに高いのですが、もう数年で逆転しそうな状況です。

同じく動きが近いのが全世界株です。こちらは、ハイテク企業の影響でコロナ後の値上がりが大きいですが、今は元の鞘に収まっています。

青=SPYD66%+VIG34%
赤=VYM
黄=VT(全世界)

余談 そもそも高配当投資は必要か

そもそも、疑似VYMでも、VYMでも、結局はトータルリターンでS&P500に負けてしまう可能性が高いため、投資対象として必要ないといえます。特に日本から投資すると、確定申告しないと二重課税で税金の影響を大きく受けるため、さらに不利です。

下のチャートは、上のもの同じものですが、アメリカのインフレ調整後のチャートとなっています。額面上は、40%-50%のトータルリターンが、インフレ調整後だと僅か15%-25%になっています。

アメリカ株の上昇率は大きいですが、インフレも同様に大きいです。日本人だけ、相対的に低いインフレや、円安で円ベースの株高を享受し続けることができるとは思えず、為替や物価などどこかで調整されることも想定しておく必要があります。

米国高配当ETFの唯一と言って良いメリットは、目先のキャッシュをいただける点ですので、すぐに潔く使ってしまうことが、メリットを最大限享受する手段かと思います。

そうではなく、再投資したり、使うのはずっと先であれば、全世界株やS&P500の国内投資信託の方がふさわしいでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント