いよいよ金融所得について保険料に反映される仕組みが具体的に動き始めたようです。FIREに影響するか現状を確認しておきます。
高齢者の配当・利子、2020年代後半に保険料反映へ 現役世代の負担軽く
外部リンク:日経新聞オンライン 高齢者の配当・利子、2020年代後半に保険料反映へ 現役世代の負担軽く(会員限定記事)
方針そのものは骨太の方針など各所で以前から言及されていたので驚きはありません。
しかし、「自民党と日本維新の会が10月に結んだ連立合意書で、25年度中に制度設計を実現すると明記していた。」そうで、26年の通常国会に関連法の改正案提出と、何とも素早い動きです。
減税や議員定数削減などに注目が集まっていた連立合意の中にしれっと入れ込んでいたのは、何とも策士というか、上手いとしか言いようがない。
減税となると、システムが云々と言い訳して遅々として進まないのに、増税には新しいデータベース構築など光速で実現してしまう素晴らしい政府ですね。
ただ内容は、ある程度予想した範囲でした。現行システム上、現役世代へは反映しにくいと予想していた通りで、75歳以上の後期高齢者医療制度への反映から始めるそうなので、この制度が導入される2030年頃まではFIREには影響はなさそうです。
もっとも、記事文中では、その後「自営業者らが入る国民健康保険や介護保険への反映も検討する。」そうです。増税にはすこぶる仕事が早い政府ゆえ、どうなっていくかまだ目が離せません。
また、そもそも本当に制度が導入されると、個別株やETFの場合、株価暴落で元本が大幅に既存してマイナス運用となっても、配当金・分配金が出れば、その分保険料負担は大きいままでダブルパンチとなるはずです。国保にまで導入されると相当不満が出そうな制度ではあります。おそらく、含み益には保険料が反映されないのと対になり含み損についても、ニュートラルと説明がなされるでしょうが。
下落局面で、マスメディアで報道されたり、高齢層がSNSで声を上げる姿は、想像できませんが、幅広い層へ導入されるとSNS等であっという間に不満が拡散されそうです。
運用方針の変更の必要は?
財務省の試算によると、75歳以上で配当収入が同じ年500万円でも申告をしなければ医療保険料は年1万5000円ほどで済む。確定申告をすると、およそ35倍の約52万円に跳ね上がる。医療費の窓口負担も原則の1割から3割に上昇する。
出典:日経新聞オンライン 高齢者の配当・利子、2020年代後半に保険料反映へ 現役世代の負担軽く
具体的な制度設計はこれからのようですが、仮にこの記事内容のように何十万も金銭的負担に影響がある制度が実現すると資産運用における面倒事が増えます。
1.75歳に到達する前に、資産運用をすべて終了させるか否か。配当金・分配金のせいで75歳以上で負担する保険料増と運用を継続した場合の期待利益を比較して、直前で運用を止めるか投資先変更を選択肢を検討する必要が出てくる。
→そもそもこの歳まで株式運用しているか否かもわかりませんが、思考力が衰えていくであろう75歳で比較衡量して頭を悩ませるのは大変そう。また、個別株やETFを運用している場合で配当・分配金を必要としない人は、無分配の投資信託に乗り換えるべきかなども検討せねばならなくなります。大きくはないかもしれませんが、売却が恒常的に発生すると市場への影響も皆無ではないはず。
2.保険料増を受け入れて運用継続する場合、確定申告していなかった人も、確定申告して負担増となった保険料の所得控除を受ける方が有利になる可能性がある。
→ブログ主など50歳で初めてしましたが、それでもかなり苦労しました。大多数の会社員はノウハウがないままなので、75歳で初めて確定申告するとなればハードルが極めて高そうです。
金融所得に保険料が関係してくると、一筋縄では行きません。ブログ主は今でも頭を悩ませていて、最適解が見つかっていません。
株式の配当のみならず、銀行預金の利子や国債の利金まで含まれるので、どの程度の金融所得で保険料がどれぐらい変わるか、現行制度でも複雑で予想もコントロールも難しいのに、75歳でまた面倒事が増えるとなれば、正直付き合いきれない気もします。まあまだ先の話なので当面は考えなくてすみますが・・・・・・・。
金融所得も労働収入も同じ収入ゆえ、公平な負担に向けた制度改定には賛成ですが、とにかくわかりやすく、予見可能な制度を検討してほしいと切に願います。税制複雑すぎです。
いずれにせよ今回もNISAは除外の方針は不変のようなので、資産運用で将来的な制度変更を想定すると、運用益非課税の点のみならず、医療保険料の点からも、一般人はとにかくNISA口座最優先が大原則となりそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。



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