[雑感]インデックス投資と個別株投資の接点

雑談

長期投資前提でインデックス投資をメインに据えている場合、相場上昇局面では、もっとテクニックを身につければ、個別株投資で、より成果が得られるのではと隣の芝が青く見える事があるかも知れません。

また、逆に相場下落局面では、インデックス投資はなすすべはなく、個別株など下落を回避できる優れた手法が他に存在するのではとの考えが頭をよぎるかも知れません。

それでも、やはり個別株投資は易しいものではないことを認識する1の視点を紹介したいと思います。

インデックスに勝てる銘柄数

個別株投資を行う場合は、何銘柄保有するのがよいか議論されることがあります。1点集中か、複数分散か。直感的に、1点集中は、わずか一企業だけと一蓮托生となり、ギャンブル感が増し増しです。

一方で増やせば増やすほどリスク分散されそうですが、市場平均に近づきそうです。

個別株投資の銘柄数とインデックス

個別銘柄のリターンを株式市場全体の動きと連動する部分(インデックス)と他の銘柄や市場全体とはまったく関係なくその銘柄固有の要因によって動く部分2つに分けて考えるモデルでは、投資する銘柄の数を増やして分散投資をすることで、固有リスクの部分は小さくなりゼロに近づけることができるとされ、 これが、「分散投資によるリスク低減効果」と呼ばれています。

実際の銘柄数と、個別株部分のリスク軽減効果は以下の通りです(保有銘柄の値動きがそれぞれ他の銘柄と独立していると仮定した場合)。

出典:証券アナリスト協会 証券アナリスト基本講座テキスト

こちらによると、10銘柄を超えるとリスク低減効果が小さくなり、以後は銘柄数が増えてもほぼ同じです。そうすると、リスクを抑えようと銘柄数を増やせば市場平均に近づき個別株投資の意味が薄れていきます。だったらインデックス投資でいいのではとなりそうです。

逆に市場平均を上回ることに賭けて銘柄数を絞ると、リスクが大きくなり、ギャンブル要素が増してしまいます。専門家が仕事で対価を得るべく集団で運用するアクティブ投信ですらインデックスを上回ることは困難であるのに、1個人がインデックスを継続的に上回る数銘柄を選び続けることができるでしょうか。

実際に10銘柄ではなく、選ばれた225銘柄の日経平均株価を、東証の市場全体の2,000銘柄超の時価加重平均インデックスのTOPIXとの5年間の比較をみても、選ばれた銘柄と市場平均との関係がみてとれます。

出典:GoogleFinanace

2,000超の銘柄群から選ばれし200銘柄程をピックアップして定期的に入れ替えても、5年程度であればほぼ同じ推移です。

別の視点

外部リンク:マネー現代 60歳からの株式投資に「新NISA」を使い倒そう…シニア世代だからこそ得られる「3つのメリット」

上記とは全く別の視点で、こちらの記事では、個別銘柄を複数保有して、そのうち1銘柄が-50%になってしまった場合の銘柄数別の全体への影響が紹介されています。こちらは、単純な計算結果です。

出典:マネー現代 60歳からの株式投資に「新NISA」を使い倒そう…シニア世代だからこそ得られる「3つのメリット」

1銘柄が半値になった場合の資産全体への影響という観点からも、同じように10銘柄程度の保有で全体への影響は相当程度小さくなる点が視覚的にわかります。10✕10=100だったものが、(10✕9)+5=95になるということです。この場合、逆に、1銘柄が+50%となったとしても、全体では+5%に過ぎないということです。

インデックス投資は相対的に固い

オルカンなど、時価加重平均型の全世界株インデックス投信だと、世界中の何千銘柄に分散投資され、かつ時価総額の変化に応じて組入比率は調整し続けられます。

一方、個別株のわずか10銘柄は、市場平均の値動きに近くなるものの、完全一致ではなく、上下のブレ幅は時間が経過するほど大きくなります。上方へのブレは歓迎ですが、下方へのブレは・・・・。

さらに、銘柄や比率が市場動向に対応して入れ替わるインデックス投信を永続的に上回るべく、定期的に自分で銘柄入れ替えをし続けるのは、わずか10銘柄ほどでも、大変ハードルが高いと思います。

こうしてみると、広く分散された指数に連動するインデックス投信の堅実さと、個人が運用する個別株でインデックスを上回るのはいかに困難かわかるのではないでしょうか。

少なくとも、個別株投資をおこなうならこのような現実は認識しておく必要がありますし、インデックス投資の利点はいつ何時も忘れないでおきたいところです。

下落相場に遭遇したり、1銘柄の爆発的な株価の上昇が話題になったりすると、他の投資手法に目を奪われがちなので要注意です。

最後までお読みいただいてありがとうございます。

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