雑談回です。いつかは訪れるリスク資産取崩し時に、期間を5年間と短期間と想定して、かつその間に比較的大きな資産価格の変動に遭遇したら、どれだけの影響があるか、自分の頭を整理するために、単純化して考えてみました。5年という短期間ではブレ幅が大きく、長期分散の視点が必要な点は資産形成期と全く同じでした。新NISAで積立てた後、短期で使うことになったら同じような自体に遭遇します。枠は復活するものの、損益相殺もできないです。
シミュレーションについて
前提
100万円を株式を想定したリスク資産に一括投資後、5年間に分けて資産取崩しをおこなう(20万or20%)。市場環境は良くなく、資産が4年間上下等しい前年対比騰落率(今回はわかりやすく隔年で±20%)で推移、5年目は騰落率同率でプラスになったと仮定。現金のままだと、毎年20万✗5年で均等。現金だけでの取崩しと、リスク資産の定額と定率の取崩しを比較する。
イメージ把握が目的のため、単純にその年の騰落率で取崩しかつ小数点3桁以降切り捨てでざっくり計算。
結果と感想
取崩し中に比較的大きい下落を2回挟むこのパターンの場合、取崩さなければトータルプラスになるにも関わらず、定額であれ定率であれ、リスク資産による取崩しには、現金よりも、厳しい結果となった。
一方で、末尾に掲載した常に右肩上がりの別パターンの場合、定額取崩しでも申し分ない結果となった。
いずれも現実にありえない両極端なケースを想定しての単純モデルであるものの、資産形成時におけるリスク資産の運用と同様に、表裏一体の関係にある資産取崩しにおいても、不確実性と向き合う必要があり。取崩しにおいても長期・分散の視点は欠かせない。
パターン別資産推移
取崩なしの場合
下落した翌年に同率で上昇しても、元本毀損のため投資金額対比マイナスが4年間継続する。5年目にようやくトータルで投資金額対比プラスとなる。株式市場が10年単位で低迷することは珍しくなく、5年レベルなら普通に遭遇するはず。
投資金額 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | |
資産額推移 | 100万円 | 80万円 | 96万円 | 76.8万円 | 92.16万円 | 110.59万円 |
対前年騰落率 | – | –20% | +20% | –20% | +20% | +20% |
定額20万円取崩の場合
市場が低迷して資産価格が下がっている年にも、がっちり定額で取崩すため、残高の減少が大きい。総取崩額は、現金のまま取崩すより小さくなり、5年目であっけなく枯渇する。
投資金額 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 5年総取崩額 | |
年初資産 | 100万円 | 80万円 | 60万円 | 52万円 | 21.6万円 | 5.92万円 | |
対前年騰落率 | – | –20% | +20% | –20% | +20% | +20% | |
定額取崩 | – | 20万円 | 20万円 | 20万円 | 20万円 | 7.1万円 | 87.1万円 |
取崩後残高 | – | 60万円 | 52万円 | 21.6万円 | 5.92万円 | 0円 |
定率20%取崩
定額取崩ほどではないが大きい取崩し率は、資産価格が下がっている年の影響を大きく受ける。取崩額も年を経過するに従い小さくなり不安定。このパターンでも、5年間に限定すれば現金のままの毎年20万円取崩に劣後する。
投資金額 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 5年総取崩額 | |
年初資産 | 100万円 | 80万円 | 64万円 | 61.44万円 | 39.32万円 | 37.74万円 | |
年間変動率 | – | –20% | +20% | –20% | +20% | +20% | |
定率取崩(20%) | – | 16万円 | 15.36万円 | 9.83万円 | 9.53万円 | 9.05万円 | 59.77万円 |
取崩後残高 | – | 64万円 | 61.44万円 | 39.32万円 | 37.74万円 | 36.23万円 |
(参考)定率4%取崩
さすがの4%ルール。途中-20%の年を2回も挟んでも、取崩額+残高は、当初の資金額を超える。
投資金額 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 5年総取崩額 | |
年初資産 | 100万円 | 80万円 | 76.8万円 | 88.47万円 | 67.94万円 | 78.26万円 | |
年間変動率 | – | –20% | +20% | –20% | +20% | +20% | |
定率取崩(4%) | – | 3.2万円 | 3.68万円 | 2.83万円 | 3.26万円 | 3.75万円 | 16.72万円 |
取崩後残高 | – | 76.8万円 | 88.47万円 | 67.94万円 | 78.26万円 | 90.15万円 |
各パターンのグラフまとめ
(おまけ)毎年対前年比4%の右肩上がり相場の場合
市場が毎年対前年比4%で右肩上がりに成長した場合の20万円定額取崩の推移は以下の通り。5年間でもまだ資産残高あり、先のパターンとは全く異なった結果となる。
投資金額 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 5年総取崩額 | |
取崩しなし | 100万 | 104万 | 108.16万 | 112.48万 | 116.97万 | 121.65万 | |
年初資産 | 100万円 | 104万円 | 84万円 | 67.36万円 | 50.05万円 | 32.05万円 | |
対前年騰落率 | – | +4% | +4% | +4% | +4% | +4% | |
定額取崩 | – | 20万円 | 20万円 | 20万円 | 20万円 | 20万円 | 100万円 |
取崩後残高 | – | 84万円 | 67.36万円 | 50.05万円 | 32.05万円 | 13.33万円 |
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