香港市場で28日約1年半振りに取引再開された渦中の中国不動産関連企業広州恒大は、最大80%超の株価下落で取引されたと報道でありました。そこで、現在の全世界株式に占める中国株比率、円建てで全世界株に長期投資した場合の過去40年のケースでの一国のバブル崩壊や為替の変動の影響を俯瞰してみます。
MSCI ACWIの中国株比率
eMAXIS Slim全世界株がベンチマークとするMSCI ACWIは、MSCI社が提供する全世界の大型・中型株を網羅するインデックスです。
こちらの中国株の時価比率は、2023年4月時点で、約3.6%。そうすると、仮に時価総額が突如半減したとしても、中国株単体での全世界株への影響は、約1.8%程度です。無論、世界経済全体への影響は無視し得ないと思いますが、インデックス投資において何かしなければならないレベルではないと思われます。
そもそも、一個人が今後の中国経済の動向と世界への影響を精度高く予想して、プロに先回りして投資でうまく立ち回ることは不可能でしょう。
日本のバブル崩壊
1989年12月末に日経平均は、38,915.87円の最高値をつけました。その後バブル崩壊で、最安値は、2009年3月 7,054.98円の最安値をつけます。率にして、80%超です。最高値から20年後の姿です。20年でも十分長期投資もし、バブル絶頂の頃にインデックス投資だから大丈夫と、日経平均やトピックスのインデックス投資積立てや一括の投資をしていて耐えられたか?
ブログ主は自信ありません。時代は選べないため、こういうことも想定はしておく必要はあります。
ちなみに、バブルの頃は、インデックス投資そのものもまだ、マイナーだったようで、一般人のアプローチは無理だったでしょう。
外部リンク:日経オンライン 日本のインデックス運用、曲折の歴史
円建てMSCI ACWIの長期チャート
各年度末の円建てMSCI ACWI指数とドル円の為替(東京市場ドル・円スポット 17時時点/月末)をグラフ化したものです。1983年末~2023年7月末までの約40年の年次推移です。
<引用元資料リンク>
外部リンク:MSCI社DATA-SEARCH (MSCI ACWI 円建て指数)
外部リンク:日本銀行時系列統計データ検索サイト (ドル円相場)
1989年以降のバブル崩壊
1985年のプラザ合意で、ドル円の為替相場は1ドル約250円から125円程度と、円が100%も上昇しています。その後も円は100円程度まで上昇しています。一方、円建ての全世界株インデックスでは、7年ほどは低迷するものの、以後は高値更新となっています。
1999年頃の高値で購入したとすると2000年ITバブル崩壊、2008年リーマンショックと暴落を2度も経験するため、10年ほどは低迷しますが、それでも、10数年で高値更新です。
40年の為替変動
為替の変動も大きいです。バブル前の1983年からバブル後にかけて上述の通り50%程度変動していますが、直近でも2011年の最高値1ドル約70円から、直近の約140円と円は100%下落しています。
(グラフは対数グラフにしていないため、視覚的には変動率が異なるように見えますが、為替も変動率大きいです)
そもそも、eMAXIS SLIMオールカントリーなど国内投信は、円ベースの全世界指数をベンチマークとしています。短期的に現在のように円安傾向だと、一見対外資産を買うのは躊躇してしまいそうですが、過去40年間は、ドルのことはいったん忘れた円ベースの全世界株は、長期的には、為替変動も吸収して、分散投資の恩恵を得ていました。
過去40年の経験と今後の40年
円建て全世界株式は、大幅な為替変動や100年に一度の言われる規模の金融危機も乗り越えているため、分散投資をして将来の購買力を維持するという観点からは、最有力な選択肢とブログ主は考えています。
ただ、過去40年ですら、10年以上投資元本対比資産マイナス状態を我慢しなければいけない局面は定期的に発生しており、今後も10年単位で我慢しなければならない局面も十分ありえそうです。
さらに、わずか40年の経験から将来を予想することは不可能なため、今後は、もっと運が悪いことがおこることもありえます。そうなったら、時代は選べないためその時は諦めるしかないです。
どこまで楽観的になるか、どこまで最悪の事態を想定するかは、人それぞれと思いますが、ブログ主は、インフレや国内経済の衰亡、さらには、国家間の力関係の変化を乗り越えて将来の購買力を維持する目的で、失敗も覚悟して、これからも、全世界株インデックスとお付き合いしていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
「[運用全般]MSCI ACWIの円建長期投資と中国、為替、日本のバブル」良く分かりました。ありがとうございました。
コメントありがとうございます!