[運用全般]株主優待でインフレ対策はできるか

資産運用

起業が実施している株主優待は、インフレに強いのでしょうか、それとも弱いのでしょうか。そもそもインフレ対策となるのか、インフレが話題の今のうちに考えてみます。

最初に:株主優待投資は趣味の範囲にとどめておくべき

まず最初に資産運用における株主優待は、資産運用の主力にはなり得ません。株主優待投資といえば、元プロ棋士の桐谷さんが有名で、配当+優待で生活を賄う生活は羨ましい限りです。ただ、個別株投資全般に当てはまるのですが、再現性に乏しく、運に左右される要素が大きいです。桐谷さんが億単位の資産を築かれたのは、後知恵講釈かつ推測になりますが、以下のような理由です。


・株主優待投資へシフトされたのがリーマンショック後の頃で、株価は歴史的な底値圏
・もともと投資歴があり投資経験を持たれていたので株式運用のリスクは承知されていた
・優待中心に銘柄選択することで、結果的に業種・投資対象が分散された
・優待目的では必然的に長期保有となり、売買の誘惑なく、投資先企業の成長を享受できた

株主優待の実施の有無と企業価値はなんの関係もありませんが、優待の株価への影響は大きく、例えば、8月8日に優待新設を公表したサンクゼール(久世福商店の運営母体)の株価は、わすが一週間で大きく変動しています。

Googlefinanceより引用

逆も然りで、優待が廃止されて、突然の下落も普通にあります。企業業績の悪化に伴い、優待が廃止されるとダブルパンチを喰らいます。さらに、平時でも規模が小さく、個人株主が比較的多い企業は、株主優待により、株価が高めに取引されているケースも多いです。株主の権利ではなく企業が任意に実施している優待に投資判断を委ねるのはリスクが高く、個人的にはおすすめできません。

資産運用の中軸は王道の全世界型インデックスであり、優待投資は、おこなうとしても、あくまでも趣味の範囲にとどめておくべきです。ブログ主も全体の数%だけ、趣味的に優待株で運用しています。趣味としてなら楽しいです。

株主優待とインフレ

ここから本題です。前置きが長くなりすいません。株主優待とインフレを考えてみます。株主優待にも、様々な種類がありますが、基本的には現金と同様でインフレには強くないものが多いです。

金券類

クオカードやシェフグルメカードは、現金同様なのでインフレ率が高まると買えるものも少なくなってしまいます。よって優待内容が変化なければ、インフレにより実質価値は減少していきます。

もし、実施企業が「最近のインフレ傾向に鑑みて、優待を拡充します!」とやってくれれば別でしょうが、もともと優待実施が減少傾向なところ、期待薄と思われます。

割引券

絶対金額型

小売業中心に製品を割引で購入できる優待も比較的メジャーです。一回のお買い物ごと使える100円割引券などです。しかし、これらは、製品そのものの価格が上昇していけば、相対的な割引率は低くなるので、インフレにより実質価値は減少していきます。

割引%型

一律%で割引される優待です。イオンの割引カードや、航空会社や鉄道会社に多いものです。これらは、買物金額や運賃に一律%で割引されるので、インフレの影響を受けません!

製品

絶対金額型

カゴメやキユーピーなど食品業界を中心に自社製品を提供いただける優待があります。これらは、1,000円相当の自社製品などと、金額で表されることが多いです。

そうなると製品そのものの価格が上昇すれば、品数が減ったり、内容量が減少してしまい、インフレの影響を受けてしまいます。ただ、ここは、自社製品ゆえ多少の融通は利かせそうですし、内容スカスカの優待は企業イメージを損なうため、何とかしてくれそうな気もします。こればかりは企業次第です。

一方で、輸送コストは上がっていくでしょうから、縮小傾向になるリスクもあります。

数量提供型

お米1Kgなど、金額ではなく数量で示されるものは、インフレの影響を受けないですね。心配なのは、金額型同様輸送コストです。

また、松屋やマクドナルドなど、クーポン1枚で指定商品選択可の実物提供型も商品価格高騰の影響を受けないため、インフレの影響を受けないですね。こちらは、輸送コストの心配もないため、優待の中では、インフレに強そうです。

まとめ

株主優待も内容により、インフレへの影響はまちまちです。そもそも、株主優待を実施している企業のインフレ耐性もまちまちのため、一律の判断はできません。しかし、今以上にインフレが進む可能性もある中では、株主優待の中にはインフレ耐性があるものが存在することは、覚えておいて損はないとは思います。

ただ、そもそも株主優待そのものが、金額が大きいものではないため、全体として考えるとインフレ対策としては、気休め程度にしかなりそうにありません。

今後、新NISAの成長枠で「インフレ時代の今だからこそ優待投資!!」なる記事が増えてくるかもしれませんが、これらに惑わされないことの方が大切と思われます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

  1. 週末山紀行 より:

    こんにちは。
    「株主優待は趣味程度」は同感です。
    購入したら完全放置出来る範囲が精神衛生上よいですね。

    マックがインフレに強い件、私も今回の物価上昇で気づきました^^