ちょくちょく取り上げられるこのような記事に思うことがあります。
記事概要
外部リンク:YAHOOニュース(THE GOLD ONLINE) 何もしないで1日が終わります…資産運用で「資産1億円」を達成した68歳元会社員。人生勝ち組のはずが、潤沢な残高を見ても“心は空っぽ”の老後「時間が取り戻せたら」【FPの助言】
こういう心理になることもありうるなと考えさせられる内容なのですが、ブログ主個人的には、資産運用(管理)と個人の人生観は直接リンクしないように思います。

無理矢理に単純化すると記事で触れられているのは、◯の部分であり、この属性のみで場合分けしても、他にも3パターンの状態が存在しうるわけです。
「1億円」というある種アイコン的な金額が使われていることからも、このようなお金はあるけど・・・・・のような記事は、他人との比較で自己肯定感を高めようとする人向けの記事でしかないように思います。言い換えると、「高学歴なのに使えない」「良家のおぼっちゃまだから世間知らず」「美人だけど性格は悪い」などと他人を見下すことで優越感を得ようとする人々の共感を得るだけのような記事です。
このような記事は、読まれるかもしれませんが、あまり生産的ではない気がします。
こちらと同じような内容です。
代表性ヒューリスティック
関連して思い出すのが、行動経済学の代表性のヒューリスティックです。特定のイメージと結びつけて直感的な判断がされやすいが、その判断は認識を誤っていることが多々あるという認知の歪みです。
(1)図書館司書のスティーブ問題(下巻p.410より再構成)
「スティーブはとても内気で引っ込み思案だ。いつも親切ではあるが、基本的に他人には関心がなく、現実の世界にも興味がないらしい。もの静かでやさしく、秩序や整理整頓を好み、こまかいことにこだわる」。スティーブの職業は以下のどれでしょうか。
【農夫/セールスマン/パイロット/図書館司書/医師】直感的には図書館司書と答えたくなりますが、農夫やセールスマンは図書館司書よりも絶対数がはるかに多いので、この人物描写を考慮しても農夫やセールスマンである確率のほうが高いと言えるため、直感は代表性ヒューリスティックによりバイアスがかかっていると言えます。
引用元:京都アカデメイア ダニエル・カーネマン 著、 村井章子訳『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』
そもそもの人間の認知機能が合理的ではないことも自覚し、心の平穏を保てるようにしたいものです。
資産運用においても
フォード車が好きだからフォード株を買っているにもかかわらず合理的な根拠があると信じているプロの投資家と、自分が好きだからフォード株を買っていると自覚している人との間には、ソフィストとソクラテスとの間ほどの違いがあります。
引用元:京都アカデメイア ダニエル・カーネマン 著、 村井章子訳『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』
外部リンク:京都アカデメイア ダニエル・カーネマン 著、 村井章子訳『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』
今回、引用させていただいた書評がとてもうまくまとめられていたので、そのまま引用させていただきました。資産運用においても、気づかない間に認知を歪められている事が多々ありますので注意が必要です。
こちらで行動経済学の入門書を紹介していますが、『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』もとてもおすすめできます。実生活や資産運用の解像度が高まること間違いなしです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント