[雑感]個人投資家が選ぶ! Fund of the Year2024に寄せて日米投資信託比較

雑談

個人投資家が選ぶ! Fund of the Year」の投票がはじまっています。今年からはブロガーの縛りがなくなり誰でも投票可能です。日本の投資信託の環境も変わり続けていますので、現時点で「投資信託」という括りで、金融先進国である米国と規模感や総コストを比較してみます。

日本の投資信託上位5銘柄

日本の投資信託の預かり資産高上位5銘柄です。

出典:日経新聞オンライン 投信残高ランキング2024.11.15時点

1年前と比較しても、2TOPのeMAXIS Slim S&P500とオルカンの資産残高の伸びは凄まじいです。

アメリカの投資信託上位5銘柄

日本の公募投資信託に近いのは米国では、Mutual Fundです。税制や仕組みが異なる点がありそうですが、これを比較対象とします。記事からの引用のため基準日が1月ほどずれているのはご容赦ください。またこちらのランキングは、日本で言うマザーファンドの規模のランキングです。個別銘柄ではないので先の日本とランキング対象が異なるため、あくまでもご参考程度の位置付けです。

外部リンク:US news money 10 Largest Mutual Funds by AUM

出典:US news money 10 Largest Mutual Funds by AUM 2024.10.14時点

預かり資産残高1位は、おなじみバンガード社のトータルストックマーケットファンド。日本から投資可能な米国ETFのVTIと中身は同一の全米株式インデックスファンドで、ベンチマークは、CRSP USトータル・マーケット・インデックスです。

2位、3位は、同じく、S&P500をベンチマークとするインデックスファンドです。2位は日本から投資可能な米国ETF VOOと中身は同一です。

4位は、米を除く先進国インデックスで、米国ETF VEAと同一、5位は短期の米国国債へ投資する債券ファンドです。

バンガード社は、2023年まで特許を持っていたシェアクラスという仕組みで、投資信託とETFを同一のファンドで運用しているそうです。

Admiralという意味が英訳しても「提督」とかしか出てこず。楽天証券の説明図には、登録商標の®がついているので、おそらく愛称的なものでしょう。インベスターズクラスより低コストで提供しているのは、最低投資額3,000$を設定しているからと思われます。eMAXIS Slimと無印Fatで全く同じ中身なのに名称の違いだけで異なる経費率で提供されている日本とは違い公平な印象です。

出典外部リンク:楽天証券 バンガード成長の軌跡とバンガードETF (2012年と古い記事ですのでご注意)

こうしてみると、日本の預かり資産残高上位の投資信託は、米国に似通ってきています。日本の4位、5位も、バンガード社のETFに投資する投資信託であり、バンガード社の存在感にも目を見張るものがあります。

ドルだと規模感がわかりにくいので、次項にて、円ベースで上位2銘柄の資産規模と実質経費率を比較します。

日米投資信託TOP2の資産規模と実質経費率比較

銘柄ベンチマーク運用会社銘柄預かり資産*1マザーファンド全体資産実質経費率*2
日本eMAXIS Slim S&P500S&P500三菱UFJ投信6.1兆円推定6.1兆円*20.10%
eMAXIS Slim 全世界株式全世界(MSCI ACWI)三菱UFJ投信4.8兆円推定約9.6兆円*20.11%
米国VTFAX全米(CAPS US TMI)バンガード59.5兆円270兆円*10.04%
VFIAXS&P500バンガード86.4兆円195兆円*10.04%

*注1)1$=150円換算
*注2)実質経費率は、米国はexpence ratioが全て込みの値のため、そのまま採用。日本は、eMAXISSlim S&P500、オールカントリーそれぞれの2024年7月25日請求目論見書より引用マーケット全体資産も同請求目論見書時点の銘柄/マザーファンドの比率よりブログ主推定
*注3)バンガード社HP掲載のfund profile VTFAXより、2024.10.31時点の当該ファンドクラス分のみを採用
*注4)バンガード社HP掲載のfund profile VFIAXより、2024.10.31d時点の当該ファンドクラス分のみを採用

ランキング表にある1.8トリリオン=1.8兆ドルは、1ドル150円換算でVTFAX270兆、VFIAX195兆とあるのはファンド全体(楽天証券図表の青の部分トータル)の数字です。eMAXISシリーズもファミリ-ファンド方式で運用されているため、比較のために、HPより抜粋した当該ファンドクラス分とeMAXIS Slimシリーズの請求目論見書(2024.7.25)よりマザーファンド規模を確認の上掲載しました。

最新の数値が取れず、時期、為替も区々となってしまい本当に大雑把な比較ですが、日本の低コストインデックス投資信託の規模感は、TOP2ですら、ざっくり米国の1/10~1/30とかなり小規模です。にもかかわらず、実質経費率は、それほど遜色ない率で安価に提供されています。

プロ野球の、MLBNPBとの関係と瓜二つともみえます。今後、日本国内でインデックスファンドの支持がさらに拡大しても、結局MLBのように米国への流出が加速する懸念もなきにしあらずかも。

現在の国内インデックスファンドは破格

これだけ規模感の差があると、国内のインデックスファンドは、提供者側にとって全く儲からない商品であることは間違いないでしょう。預かり資産残高で国内1位、2位でさえこの規模感ですから、新NISAに先立って対抗した競合他社商品は言わずもがなです。

これに加えて提供者側では、クレカや投信保有ポイントまで提供しているとなると、NISAの顧客獲得競争の中、相当無理をしていることは明らかです。こうしてみると、何処か別のところで収益を得るため、業界内で、インデックスファンドにネガティブな情報発信に傾きがちであったり、並行してアクティブファンドに誘導したりするのも、わからなくはありません。

消費者側からは低コストは大歓迎ですが、健全性や持続可能性を欠く状況は、回り回って最終的に消費者側に不利益が回ってきます。個人投資家が選ぶ! Fund of the Year」の投票にて、ブログ主は、昨年同様にオルカンに投票させていただきましたが、現在の低コストインデックス投資信託を取り巻く環境には、消費者側は、相当恩恵を受けていることも忘れてはならないなと思いました。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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