物価上昇が止まらず、新政権の経済政策と円安やガソリン減税やお米券などが話題になる中、やはり思い出すのは金(ゴールド)。現状を確認しておきたいと思います。
日経平均と金価格(15年)
東証上場ETFのSPDRゴールドシェア(1326)とMAXIS日経平均(1346)を用います。2024年8月と、2025年5月、そして現在の2025年12月時点で比較してみます。
2024年8月

2025年5月

2025年12月

日経平均株価が圧倒していた2024年8月とは景色が全く異なり両者が肉薄してきた2025年中では、金価格が日経平均株価に近づいていく傾向に変化がありません。
ただ、ETFの価格の他、分配金の有無で違いがあるので分配金のある日経平均株価連動ETFが優勢であったことは変わりません。
日経平均と金価格(5年)


ところが、5年の期間でみると、わずか7ヶ月で全く違ってみえます。直近2年ぐらいで、金価格の上昇が著しいことが一目瞭然です。
と同時に、この種の比較グラフは切り取り期間によって全く違って見えることを思い知らされます。自分の主張に都合のいいように加工利用できるわけで、本当に注意が必要です。
所感
少なくとも1989年のバブル崩壊後の実際の値動き、そして直近の現象を見る限り、金は、株価下落局面でのクッション効果はありそうですが、インフレ局面でのインフレ対策としてみると、株式に分がありそうです。ただ、将来もそうなるか否かはわかりませんが。
加えて、教科書的には金の保有比率は、ポートフォリオ全体の10%前後と言われていることが多く、コストやリスクを考えると金を多く保有することは現実的ではないため、ポートフォリオ全体への影響は大きくなく、この意味でもインフレ対策で金を検討する余地は大きくないかもしれません。
外部リンク:田中貴金属工業 ポートフォリオとしての金
それにしても、値動きを見ると、美しいものの、ただの金属でそれ自体付加価値を生じない金が、企業活動によって利益を生み続ける株式と同様にインフレ率を超えて価値が増大していくのは不思議といえば不思議です。
株価の方も、GDP成長率はたかだか年間数%で、経済規模が2倍、3倍と拡大しているわけではないのに、ここ15年で5倍ほども値上がりしているのは、不思議です。長期間、0金利、デフレ下で生活してインフレとは無縁、日経平均が1万円回復して喜んでいた身からは、ちょっと現状は、とても嬉しいものの、こんなことが続くのかバブルではないかと恐さもあります。実質FIRE状態なのに、保有株式の時価上昇が、生活費を引いても、毎年会社員の頃の年収を遥かに上回り続けているのはちょっと常識的には考えられません。
個人が取りうる手段は限られていますが、将来の株式相場やインフレ率、円貨の価値は予想できないので、「株価ではなく円貨の価値の方が上下する発想」を常に忘れず、様々な事態を想定しておくしかありません。
最後までお読みいただきありがとうございました。



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