日経BOOKプラス掲載の記事に触れて金融商品、特に生命保険の難しさをあらためて感じました。アクティブ投信がかわいらしくさえみえてきてしまいます。
ブログ主見解
以前記事にしていますが、生命保険の必要性は承知できるものの、
1.販売者側との利益相反の存在
2.過度に不安を煽り合理的判断を阻害されがちであること
3.不透明な手数料体系
の3点から、意識的に個人が必要とする最低限保障に絞り込むことが必要と考えています。
販売者側との利益相反の存在
外部リンク:日経BOOKプラス「損する保険」を勧める販売員に悪気はない?
手数料を得たい販売者側と保険料をなるべく抑えたい加入者側の利益相反です。これは投資信託も同じですね。収入を販売手数料に依存していれば、背に腹はかえられません。
記事でも触れられている通り、他社により加入者側に有利な商品が存在しても、他社商品は間違っても販売できません。自社商品を売るしかないジレンマが存在します。
また、特約のオンパレードで他社商品との横比較も難しくされています。投信の銀行販売で、特別金利の定期預金と販売手数料の高い投資信託などがセット販売されたりするのと似ています。
余談ですが、個人的には、それなりに恩恵を受けていただろうに、この著者さんの元いらっしゃった保険業界に背を向けるような物腰には好感が持てません。しかし、ご主張内容は、全く持って共感できます。
著書を元にした一連の本シリーズ記事は、無料でよくここまで公開されるなと感服するほど網羅的に問題点を取り上げられていますので、保険についてあまり考えたことのない方にはおすすめです。
過度に不安を煽り合理的判断を阻害
行動経済学でいわれる「損失回避バイアス」です。人間は生物としての構造的な仕組み上、損失を過剰に認識しがちというものです。保険の営業は、これを駆使されるので、知らぬ間に前のめりにされてしまいます。
インベスターZを題材にした経済コラムにそのものズバリ引用されていましたのでリンクを貼ります。
外部リンク:DIAMOND online 何でそんなに保険に入るんですか?→「生命保険かけまくり」な20代の答えが衝撃だった!
これに、「返報性の原理」であるGNPと呼ばれた義理・人情・ブレゼントまで駆使されると、なかなか断りづらい状況が出来上がってしまいます。
ご存じの方も多いと思いますが、インベスターZ、投資エンターテイメントとしてかなり楽しめるのでおすすめです。
不透明な手数料体系
外部リンク:日経BOOKプラス 新NISAで気づく保険の暴利 投資信託と比較すべき「ある数字」
1と同じシリーズの記事に上手くまとめられていますので、詳細はリンク先の確認をおすすめします。年金払や貯蓄性の保険についての手数料の問題です。
大半の保険は、募集人や代理店を通じて販売されており、ここに募集コストがかかっています。しかしながら、投信の販売手数料とは異なり、明示されていません。
さらに、商品に占める保険会社の運用コストや事務手数料もはっきりしません。各社や生命保険協会HPには、各種統計が公表されており、もしかするとこれらから推定はできるのかもしれませんが、一般人には手におえません。
お守りします!安心をお届けします!の言葉よりも、少しでも、中身を明示していただいた方がありがたいと思います。
コスト見直しの本丸かも
株式を資産運用に組み込み、インデックス投資を普段から意識している方であれば、信託報酬のわずかな差にも、敏感だと思います。当ブログのように、投信業界がボッタクリではないかとも思えるアクティブ投信を無理やり販売することには賛同できない方も多いと思います。
しかし、投資信託は、インデックス型であれアクティブ型であれ、少なくともコスト面では、明瞭会計です。信託報酬のみならず、事務経費も明示されています。
昨今話題となっている手取りを増やす=使えるお金を増やすという観点からは、収入を増やす、資産運用の中身を考えることとともに、無駄な支出はないか考えることも重要だとあらためて思いました。消費者の側からは、目的と効果が同じなら、費用は小さいに越したことはありません。
労働収入は簡単に上げられないし、資産運用はどうしても不確実性をともないます。しかし、無駄なコスト削減は、確実に可処分所得を増やしてくれます。
その点からは、生命保険には、別の意味でのお宝が眠っている可能性があります。ただ、見つけても、「保有効果」や「現状維持バイアス」という難敵が待ち構えているので、これまた一筋縄ではいかないのですが・・・・・・・。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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