残念なニュースを目にすることになりました。IMF予想によると、日本の2023年度の名目GDPはドイツに抜かれ世界4位になる模様です。
国家の栄枯盛衰
外部リンク:読売オンライン 日本の名目GDPがドイツに抜かれ4位転落へ、コロナ禍からの回復に差…IMF予測
自国のことなので残念ですね。旧西ドイツを当時の主要指数GNPで抜いて世界2位になったのが、1968年、人口が1億人を突破したのもその頃。1945年の敗戦からわずか20数年の出来事です。それから、さらに20数年後、日経平均のバブル最高値が1989年。2023年現在、それから約35年です。30年スパンでの栄枯盛衰の予想がいかに難しいか、日本国自ら雄弁に物語っています。
GDPと株式時価総額
GDPは、地域内にある期間に生み出されたモノやサービスなどの付加価値の総額であるため、GDP成長率と上場企業の総評価額ともいえる株式時価総額の成長率との相関性は高いと言われています。
そうなると低迷が続く日本株は投資すべきではないのかというとそうとも言い切れないのが難しいところです。一般人が投資可能な市場で流通している上場企業の株式時価総額でみると、依然として日本株式は大きく、ドイツと3倍ほど開きがあります。
米国を除く先進国を投資対象にするヴァンガード社の米国ETF VEAの構成国比率では、まだ日本の割合は大きいです。ドイツの時価比率はオーストラリアと同程度です。
コロナショック後からの株価推移
コロナショック前後は、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が成長著しい新興国として着目されていました。ちょうど、現在、独走中のアメリカ株が着目され、全世界ではなくアメリカ株一本でいいのではという記事を目にするのと同様、これからは、新興国の時代だから新興国の成長を取り入れるため新興国の株式比率を高めるべしといった記事をよく目にしていました。
外部リンク:独立行政法人経済産業研究所 BRICsの主役としての中国― 世界と日本経済を牽引 ―(2010)
それから15年ほどの株価推移です。
配当込ドルベースでの、緑=VT(全世界株) 青=VEA(先進国除く米国) 黄色=EWJ(日本株) 赤=VWO(新興国株)
2008年~2009年リーマンショックで時価はほぼ半減。その後2013年頃まで4年間、新興国株のパフォーマンスが良好です。2010年は、中国がGDPで日本を抜いて2位、日本は3位に転落した年です。この良好だった数年だけ見ると、これからは新興国の時代であることは間違いないと比率を高めたくなっていたかもしれません。
しかし、その後の10年は、GDP2位の中国、成長著しいインドなどを対象としたVWO(新興国株インデックス)は最も低迷。直近でも、VEA(先進国除く米国)、EWJ(日本株)に劣後する状況が続いています。蓋を開けてみれば、リーマンショックの震源地アメリカがぶっちぎりの10年でした。
予想不能
GDPの成長率と株式時価の成長率は相関性が高い可能性があるも、国によって経済体制は異なり、GDP成長率が高い国への投資が成功するとは限らず。また、数年単位、10年単位、20年単位の栄枯盛衰は全く持って予想不可能。日本のように少子高齢化、低成長で明るい話題がない場合でも、10年ぐらいなら投資対象として悪くなかったこともここ10年のようにあり得ます。
これに加えて、為替変動というこれまた予想不可能な要素も入ってくるので、資産運用に関しては、GDPが3位でも4位でも自国の経済状況の影響を最小限にし、資産保全を図るべく、全世界株インデックスに長期で分散しておくのは一つの手段だと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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