[雑感]感想:「世界分散型投資信託」はオールカントリーだけじゃない」新NISAの人気株検証&出遅れ注目株(4)

雑談

日経オンラインに掲載された記事です。日経マネーの編集部が、FPのカンさんや、楽天経済研究所の篠田さんなど著名人のコメントを踏まえて、「オルカン」を超える世界分散投資を探るというものです。内容が気になります。

記事概要

外部リンク:日経新聞オンライン 「世界分散型投資信託」はオールカントリーだけじゃない」新NISAの人気株検証&出遅れ注目株(4)

冒頭、オールカントリー」は、米国株を6割以上含むため偏っている旨の説明から始まります。もはやく枕詞のごとくの、鉄板ネタです。つい先日も記事にさせていただきました。

ただ、ここで終わらないのが流石の大手紙です。具体的な代替手段が提示されています。これは興味深い。具体的に見ていきたいと思います。

そこで編集部では今回、プロの意見を基に「オールカントリーを超える世界分散投資」のやり方を模索。新NISAのつみたて投資枠で買える投信だけでも、様々な選択肢が浮かび上がった。

出典:日経新聞オンライン 「世界分散型投資信託」はオールカントリーだけじゃない」新NISAの人気株検証&出遅れ注目株(4)

提示されている選択肢

記事では以下の5つの選択肢が登場していました。

1.日本、先進国、新興国それぞれに約33%ずつ配分する。
商品:eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
2.日本と先進国の株式と債券に25%ずつ投資する。GPIFとほぼ同じ。
  商品:<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
3.3つの地域ごとのGDPの規模に基づいて「先進国55:新興国35:日本10」という比率を決め、各地域で株式と債券に半々ずつ投資する。
商品:「世界経済インデックスファンド」、「SMT 世界経済インデックス・オープン
4.好みでトッピング 「オールカントリー50%、日本株25%、インド株25%」(篠田さん)
5.全世界株式から日本株だけを除いたインデックス型投信を持ち、日本株の部分は別に運用する(カンさん)
  商品:「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

それぞれブログ主なりの見解は次のとおりです。

1.日本、先進国、新興国、約33%均等

提示されている商品は、eMAXIS Slimシリーズでコストは格安で問題ありません。ただ、時価総額加重平均ではなく、日本と先進国と新興国を別立てとして3地域均等保有する理由がないと思われます。

アメリカ含む先進国よりも、日本と新興国が飛躍的な成長を遂げると、全世界型を上回る可能性を秘めますが、逆も然りです。全世界型での日本と新興国の成長・衰退の時価総額での反映をあえて根拠のない予想で崩して特定の地域に文字通り賭けるメリットは少ないように感じます。

ドルベースではありますが、類似の指数をベンチマークするETF(TOK=MSCI KOUSAI,EEM=MSCI EMERGING,EWJ=MSCI JAPAN*)3資産均等とACWI=MSCI ACWI(オルカンのベンチーマーク) 、VT=FTSE GACIの2009年からの推移です。
*eMAXIS Slim3資産均等の日本株部分はTOPIXがベンチマークだがほぼ同等とみな代替採用

ACWIとVTはベンチマークする指数は違えど、同じ全世界型のため値動きは当然ほぼ同じですが、擬似的3資産均等は、新興国と日本株の低迷時期と重なっているため、ここ15年ほどは、全世界型には劣後しました。

2と3の債券含むポートフォリオ

オールカントリーは株式100%のため、リスクを抑える目的で債券を含めるのはありだと思います。ただし、これだとリターンでは、オールカントリーに劣後する可能性が高いため、記事中にあるオールカントリーを超える世界分散投資かどうかは投資目的によることになります。

紹介されている商品も、ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)は、低コストで良心的ですが、他の2つは購入時手数料あり、信託報酬はSlimオルカンの数倍です。

リスクを抑える目的の場合、個人では、個人向け国債変動10が利用可能なため、オルカン+変動10がシンプルな低コスト運用に適していますので、比較対象になります。

4.好みでトッピング

直近で調子がいい国や地域にはつい目が向きがちですし、注目されやすいため、記事に登場しやすいです。しかし、ブログ主は、現在調子がいいこと将来は関係しないというスタンスで、この種の後追い的な見方には懐疑的です。

1の日本、先進国、新興国、約33%均等以上に、根拠のない思惑でバランスを欠くことになりかねません。ギャンブル的に特定の地域国に賭けて、投資を趣味的に楽しむ方は別として、今現在調子の良い国や地域の配分を大きくすることが、オールカントリーを超える世界分散投資といえる根拠をブログ主は持ち合わせていません。

5.日本株の部分は別に運用する

紹介されているのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」です。オールカントリー中の日本株比率は10%未満のため、ほぼオールカントリーです。

数%の部分だけ、趣味的にこうした運用をおこなっても、大勢に影響はないため、趣味的な運用が好みならありだと思います。実際にブログ主は、日本株は一部のみ個別株で趣味的に運用しています。

ただ、長い間インデックス投資界隈で、見向きもされなかった日本株が、記事に登場するのは、4同様に、直近の日経平均の高値更新に引っ張られている感があり、注意が必要です。

結局オールカントリーとは

時価加重平均型の全世界株式インデックスは、究極の分散投資と言って過言でないと思います。米国株式の比率が大きいから分散されていないというのは詭弁に過ぎませんし、本記事で言及されているオールカントリーを超える世界分散投資は存在しえません。

株式部分のみで考えると、時価加重平均型の全世界株式インデックスに独自の味付けをすればするほど、分散から離れ、インデックス対比の上下のリスクは大きくなり、アクティブ運用に近づきます。運が良かったり、特別な技量があれば、インデックスを上回れる可能性がありますが、逆に下回ることもあります。

そのようなリスクを明示せず、逆に全世界インデックスの運用を分散投資として否定しているような記事には警戒が必要です。趣味として楽しむ程度で十分です。

そもそも、全世界株式インデックスでの運用そのものが、既に株式100%の全力投球です。投資元本のマイナスも常に想定しておく必要がある相応にリスクを内包する投資手法です。自身の投資期間と見込まれるキャッシュニーズから、個人向け国債や預貯金等のバランスは問題ないか、そちらの方がより重要かと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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