[運用全般]歴史に学ぶ資産保全 -戦時の債権投資

資産運用

当ブログでは資産運用は、将来の自分への仕送りとの考えを前提に記事を書く予定です。今使わず、将来まで現在同等の価値を維持することの重要性を常に考えています。商品選び以前に重要です。

一瞬で無価値になった紙幣

冒頭の画像は、満州国(1932-1945)の紙幣です。1905年の日露戦争後のポーツマス条約で大日本帝国が獲得した南満州鉄道の利権の保持、戦略物資の確保、対ソ連の安全保障などを目的に当時の軍主導で建国した国の法定通貨です。下部真ん中に「大日本帝国内閣印刷局製造」と記載があります。1945年の大日本帝国の敗戦で満州国は事実上消滅し、紙幣は無価値となりました。
ブログ主は、ネットオークションで入手しました。当時の最高額紙幣は、現在は歴史的資料でしかありません。

償還されたなかった国債

こちらは、昭和17年4月23日(1942年)、当時の大日本帝国が発行した10年国債です。割引債なので、発行価額14円。満期は、昭和27年6月9日(1952年)で償還額は20円となっています。年利回りは、単純計算で、約4.29%です。日米開戦が、昭和16年12月(1941年)です。当時前後して、南方の当時フランスやオランダ領であった現インドネシアや、イギリス領のシンガポールなどを相次いで占領していました。欧州ではドイツが独ソ戦を開始していました。
当時10年国債を購入した方々は、国家に貢献する自主的な思いからか、それとも戦時体制下購入しない選択肢はなかったのか、または、運用先として純粋に投資判断したのか、知る由はありません。
ただ、昭和17年4月の時点で、昭和20年の敗戦を予想することはまず困難であったのは間違いありません。
さらに、敗戦したものの、国家としてデフォルトはしておらず、そのまま持ち続けて昭和27年の満期に償還を受けることも可能であったはずです。しかし、換金はなされず、現在ネットオークション経由ブログ主の歴史的資料となっています。
ここからは推測ですが、戦後のとてつもないインフレのため、換金するのは意味ないほど貨幣価値が変化していたからと思われます。

参考:外部リンク 日本のインフレ(Wikipedia)

資産運用以前の問題

戦前戦中は、あたかも別の国の出来事のように感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、民法や商法、刑法といった基本法は、戦前戦後引き継がれています。また、戦前から活動を継続している株式会社も幾多も存在します。
明治政府成立から敗戦までは、約77年。敗戦から、2022年までも77年間で同じ期間です。
当時も今も、一般人は預金したり、国債を買ったり株式を購入していることに変わりはありません。

本記事執筆時の2023年ロシアとウクライナ戦争は依然継続しています。対外的には、日本周辺国の軍事的脅威が明らかに高まっています。対国内では、社会保障費拡大に歯止めがかからず、政府債務の対GDP費は、敗戦時と同水準にまで高まっています。さらに、拡大がとまる気配もありません。

日本国全体して、目前の課題を先送りにしたり、過去の経験や成功もしくはサンクコストに拘るばかり、無駄な税金を投入し続けたり変化を拒んだり、さらには既得権益に拘泥してこれからの世代を犠牲にしたりしないよう、一人ひとりが考えて選挙を通じて大局的な観点から意思表示をしていくことが、命を守り、ひいては資産を守ることに繋がります。

国家が安定して将来にわたって存続することが資産運用の大前提です。

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