[運用全般]GPIFに学ぶ資産運用

資産運用

年金積立金管理運用独立行政法人【GPIF】のホームページとYoutube動画が資産運用の教科書のような出来栄えです。個人の資産運用と全く同じような運用がなされていて、個人投資家の皆様も安心できるし、とても参考にもなります。

GPIFと年金積立金とは

GPIFとはGovernment Pension Investment Fundの略で、日本語名称の通り、年金の積立金の運用をおこなっています。

マスコミや野党の国会議員の方は、株価下落局面のたびに、汗水垂らして収めた保険料を数兆円溶かした(怒 とか年金でギャンブルするな!! とか意味不明の主張を繰り返しますが、基本的な仕組みがわかっていないか、意図的に利用しているか、いずれにせよ理解し難い言動です。

GPIFのホームページの「年金積立金の運用とは」に本当にわかりやすく説明されています。ここをざっと目を通すだけでも、毎度の批判がいかに的外れか、誰の目にもあきらかです。

年金原資は将来的に、保険料が65%、国庫負担=税金が25%、GPIFで運用されている年金積立金が10%の割合で計画されています。年金積立金は、今後100年間の将来の世代のための積立金で、元本は約100兆、含み益も約100兆で現在の運用残が約200兆ですから、国家予算の2倍の規模の資金を運用しています。

年金積立金は、将来世代の負担軽減のためにGPIFが運用している世代間仕送りです。今払っている保険料をすべてGPIFが運用しているわけではありません。

仕組みとしては、個人が老後資金のために運用するのと同じです。老後になり、運用してきた資産を長期にわたり取崩すのと同じです。

なお、年金原資には25%税金が含まれていますので、将来年金制度は破綻するから保険料は払わないという選択肢がいかにもったいないことをしているかも図表からわかります。

日本の公的年金制度(厚生年金保険及び国民年金)は、現役世代が納める保険料で、その時々の高齢者世代に年金を給付しています(賦課方式)。
つまり、現役世代が将来受け取る年金は、その子どもや孫たちの世代が納める保険料でまかなわれることになります。そのため、自分が納めた保険料が積み立てられ、将来自分に年金として戻ってくる仕組み(積立方式)ではありません。

GPIFホームページ「世代間扶養」における意義より引用

現役世代が納めた年金保険料のうち、年金の支払いなどに充てられなかったものが、将来世代のために積み立てられています。GPIFはこの年金積立金を、国内外 の資本市場で運用して増やしています。年金積立金の運用収益や元本は概ね100年の年金の財政計画のなかで、将来世代の年金給付を補うために使われます。年金財源全体のうち、積立金からまかなわれるのは約1割です。

GPIFホームページ「年金財政における積立金の役割」より引用
GPIFホームページ「年金財政における積立金の役割」より抜粋

GPIFの運用方針

国内外の株式債券に25%ずつ振り分けて基本インデックス投資がなされています。株式比率が50%なので、個人でも、インデックス中心の運用の方は似たような比率の方も多いと思います。

長期、分散とインデックス投資の方には、耳タコの基本原則とおりの運用です。ホームページでも、以下のように述べられています。

株式や債券の運用によって得られる収益(儲け)は、短い期間ではプラスやマイナスに大きく振れる可能性がありますが、長期的に見れば、世界の経済活動などに資金を提供する対価として、元手を増やすことができています。GPIFによる年金積立金の運用は、株式や債券などの資産を長期にわたって持ち続ける「長期運用」によって、安定的な収益を得ることを目指しています。

GPIFホームページ「長期的な観点からの運用」より引用

運用資産が200兆円ありますので、-4%変動するだけで8兆円のマイナスです。野党の皆さんは、単年度の運用成績で、何兆円も年金を溶かしたと大騒ぎしますが、長期分散のインデックス投資の観点からは滑稽でしかありません。

また、野党は、なんと、2020年4月にGPIFの株式運用比率を法律で20%以下におさえる改正案を国会に提出しています。ちょうどコロナショックで世界的に株価が大きく下がった年です。株価値下がり局面でおこなうことは、リバランスで株式比率を戻すか、追加投資すべきであり、狼狽売りはもっともおこなってはいけない行為です。

それよりも、2014年,2020年の運用割合変更決定は素晴らしかったと思います。変更決定した理由や経緯も詳細に情報公開されています。にもかかわらず、これも株価対策だと的外れな批判にさらされていたりします。

とにかくGPIFのホームページやYoutubeはよくできていて、資産運用でおさえておくべきことがわかりやすくコンパクトにまとめられています。下手な入門書より、こちらのコンテンツが本当におすすめできます。

CIOインタビュー

最後にGPIFのCIOインタビューを紹介します。13分で年金運用=資産運用がよくわかります。

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