[雑感]円高ハンターに思う

雑談

12月17日、円高ハンターという愛称付きの新規ETFが東証に上場されました。見事に愛称につられ中身を確認してみました。

iシェアーズ 円高フォーカス ETF(488A)

外部リンク:東証マネ部 2025年12月17日上場 488A:円高ハンター

愛称付きの投資信託は地雷という定評がありますが、本ETFも何ともキャッチーな愛称をつけており、上手いなと感心します。みかけたら、つい中身を確認してみたくなってしまいました。

外部リンク:Wikipedia 合接の誤謬

行動経済学でよく取り上げられるリンダ問題とも関係します。イメージだけで判断してしまいがちな思考のショートカットです。コピーライターという職業があるぐらいです。言葉でイメージを想起させられることは、いい方向に使われば良いですが、逆も然りで本当に諸刃の剣で要注意です。

本ETFも、まだ熊も話題になり続けていることもあり、何だか円高に強そうだとブログ主は見事につられてますし・・・・・・・。もっとも、冷静に中身は確認しなければなりません。

で、肝心の商品の中身は、為替ヘッジ付き日本の短期国債のインデックス(FTSE Japanese Government 0-1 Year JPY/USD FX Enhanced Hedged)への連動を目指すインデックスファンドで、信託報酬も0.33%と目くじら立てるほど高額ではないものでした。

短期国債への投資とともにドル売り円買いのFXポジションを取ることを一つのファンド内で完結させるイメージです。

現在売れに売れまくっているS&P500や全世界株式インデックスファンドがありますので、保有者に対して円高になった場合のヘッジになりますよと訴求するのでしょう。

ただ、現在は10数年にわたる円安基調の真っ只中で、当該インデックスの過去パフォーマンスも最悪です。

出典:東証マネ部 2025年12月17日上場 488A:円高ハンター

目先でも、政策金利引き上げが公表されたにも関わらず、円安基調のままです。このタイミングでETFを新設してあえて売り出そうとするのは珍しいです。おそらく、現在売れている投資信託は外国株式だらけですから、需要ありと見たのかもしれません。

出典:日経新聞オンライン 投信純資産ランキング(2025.12.16)

純資産ランキング上位は気づけば外国株式ファンドに占領されています。どこへも勝機を見出すこの業界は、商魂たくましいとしか言いようがありません。

為替に対するスタンス

基本スタンス

ブログ主も円貨建てより外貨建て資産の方を多く保有しています。しかし為替は予想できずコントロールできない前提で、円高対策は、円そのものである個人向け国債変動10で調整するぐらいで問題ないスタンスです。そもそも、これまでは、全世界株式を保有していれば、為替変動もしっかり乗り越えてきたので、他の手段には余り必要性を感じません。

為替ヘッジコスト

そもそもただ飯は存在せず、ヘッジにはコストがつきものです。ぱっと思いつくのは、ドル売り円買いの為替予約で日米の金利差から生じる金利コストです。FXではマイナスのスワップポイントにあたるものです。さらに、コンタンゴの問題もあります。

外部リンク:楽天証券トウシル 意外と知らないETF投資:「コンタンゴ」を知らないと大損の可能性

円高ハンターもネーミングこそ逞しく簡単に円高対策してくれる!と思わされがちですが、

出典:iシェアーズ円高フォーカスETF交付目論見書

愛称とは裏腹に、専門用語のオンパレード。為替予約や日米金利動向、為替相場の先読みなど、様々な要素が価格に影響するので、ブログ主のような一般人が、値動きを想定することは大変困難なプロ仕様となっています。

円高から円安に転じるタイミングが読めればある程度機能する可能性もありますが、そんなタイミング誰も予想して当てることは不可能です。

愛称付き投資信託はやはり知識がないなら近寄るべからずの法則が当てはまりそうです。

そもそも・・・・

それでも、どうしても為替ヘッジしたい場合、ヘッジ付きの株式インデックスへ投資すれば足りるとも言えます。同じ、iシェアーズ社も、iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(為替ヘッジあり)(2563)を東証に上場しています。

しかしながら、そもそも、全世界株式インデックスには、米国外の株式が4割ほど含まれているので、円高ドル安に対するヘッジはある程度内在しているといえます。折角、全世界株式に投資して、円高や円安などの為替変動の影響を低減させようとしているのに、わざわざコストを掛けて円安へのヘッジ部分を減らすのはもったいないとも言えます。

愛称は本当に危険です。愛称につられて、ついつい円高対策を考えてしまいました。気をつけなければ。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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