企業型確定拠出年金に加入している人が60歳より前に早期退職し退職時無職である場合、6ヵ月以内に個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移管手続きをおこなう必要があります。会社では手続きしてくれませんので、自分でおこなう必要があります。放置の損失は巨大なためもれなく実施する必要があります。紙の手続きが必要です。
確定拠出年金の移管
難易度 ★★☆☆☆ 比較的簡単
具体的な移管手続
退職前に「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を勤務先に記入してもらっておきます。ブログ主は記入依頼した記憶が無いため、おそらく退職手続きの際に会社から用意されていたと思われます。
退職後は、速やかにiDeCo口座を開設する運営管理機関に、移管の申込みを実施します。ブログ主の場合は、企業型確定拠出年金の運営管理機関を変更しませんでしたが、ホームページからpdfドキュメントをダウンロードして郵送しました。調べたところ、必要な書類をオンラインで郵送してくれる運営管理機関が多い印象でした。
なお、移管を期に、楽天証券やSBI証券など大手のネット証券へiDeCo口座を移すことをおすすめします。企業型確定拠出年金の手数料は、会社負担ですが、個人型へ移行後は、個人負担となります。後述しますが、運営管理機関により手数料の差がものすごくあります。
手続き後の流れ
2ヶ月ほどで、iDeCo口座が開設され、運用を開始することができます。移管手数料が控除されますが、これは避けて通れません。
なお、運営管理機関を変更してもしなくても、企業型で運用していた資産は一度現金化されるため、評価損益はリセットされます。評価益があっても税金は発生しませんが、評価損があった場合でも、特定口座のように損益相殺はできません。
また、この間、企業型確定拠出年金のIDから残高がなくなり、iDeCo口座の新IDが手元に案内されるまで若干のタイムラグが有りました。なくなってしまわないか少し不安でした。
移管を忘れてしまったら
国民年金基金に退職6ヶ月後に自動移管されます。移管されたら、下記の手数料が発生する他、移管中は一時金で受領する場合の退職所得控除期間や受給に必要な加入期間に参入されないため、税金や受領時期について不利益を被ります。
<自動移管になってしまった時の手数料>
・自動移換時:4,348円(特定運営管理機関への移換手数料3,300円・事務手数料1,048円)
・自動移換後4ヵ月経過後から:52円/月
・自動移換後にiDeCoに移換するとき:3,929円(特定運営管理機関への移換手数料1,100円・事務手数料2,829円)
・自動移管後にほかの企業型確定拠出年金に移換するとき:1,100円(特定運営管理機関への手数料)
iDeCoの手数料
企業型に加入の場合はほとんど意識しませんが、確定拠出年金は、厚生労働省管下の国民年金基金連合会が運営する国の年金制度です。運用する商品そのものの信託報酬とは別に下記の手数料を負担する必要があります。
例えば、退職後10年運用する場合、運営管理機関により、400円✗12ヶ月✗10年=48,000円もの差が発生します。これは国民年金の付加保険料と同額ですから、とても大きい差です。
さらに、拠出額が10,000円/月とすると、最も安い運営管理機関で1.7% 高いところだと5.7%とかなりの手数料負担になりますので運用負けも想定する必要があります。
<iDeCoの手数料>
・加入時/移管時:2,829円 (国民年金基金連合会)
・加入者(掛金を支払っている場合):171円+運営管理機関ごとの手数料 (国民年金基金連合会105円・信託機関66円・運営管理機関0円~400円前後)
・運用指図者(掛金を払っていない場合):66円+運営管理機関ごとの手数料 (信託機関66円・運営管理機関0円~400円前後)
・給付手数料:440円 (信託機関)
iDeCoの税金
・拠出金は全額所得控除が受けられる点と受給まで課税を先送りできる点が最大のメリットです。
・運用中は、非課税ですが、特別法人税1.173%が 運用資産全体に対して将来付加される可能性が残っています(1990年から凍結中)。仮に運用額が500万円とすれば、年5万円ほどになってしまいます。
・受給時は、一時金の場合は退職所得として分離課税されます。退職所得控除が適用できます。ただし、退職金を先に19年以内に受領していた場合は、退職金受領時に適用された控除期間は除かれるため、ブログ主のように50歳で早期退職して退職金を受領した場合は、拠出を継続しても確定拠出年金を始めた年ではなく、退職後~受領するまでの期間しか退職所得控除が適用されないと思われます。
・逆に先に確定拠出年金を受領して、5年以上あけて退職金を受領するとそれぞれ別個に全期間控除が適用できるようですが、このようなことが可能な方は多くはないと思われます。
・退職所得として課税される場合、全資産額が課税対象のため、運用がマイナスでも、退職所得控除が多くなければ税金が発生してしまいます。
・年金方式で分割して受領することも可能です。この場合、雑所得として他の年金と合算して金額に応じた公的年金等控除が受けられますが、金額によって確定申告が必要だと思われます。確定申告すると国民健康保険の保険料に影響するため、比較検討が必要です。さらに、受給のたびに手数料440円が発生し、かつ受給期間中66円~466円前後の手数料負担が継続します。
・なお、これらは各HPを読み込んで整理していますが、ブログ主は元会社員で税務知識には乏しいため、不正確な内容が含まれている可能性が多分にあります。申し訳ございません。iDeCoの税制はとても複雑で、退職金の有無や金額、年金見込み額や受け取り方法や時期により、かなりかわってきます。各自早いうちから準備しておく必要があります。
早期退職とiDeCoまとめ(ブログ主の選択)
企業型確定年金は運用中は利益が出ても課税されないため、とてもお得な制度です。ブログ主もマッチング拠出を利用して、年末調整で所得控除の恩恵を受けていました。
しかし、早期退職した場合、最短60歳まで引き出せませんし、再就職までは所得控除の恩恵を受けることも難しいです。配当所得があれば確定申告で適用される余地はありますが、国民健康保険料に影響します。年金払い方式の公的年金等控除も同じ問題があり、かつ、手数料負担が大きいと感じます。
よって、ブログ主は、退職所得控除を最大限受けられるよう拠出は続け60歳になったら一時金で即引き出し、現金化することを予定しています。確定申告をして所得控除を受けるか否かは、R5年の申告のときに損得を検討する予定です。
元会社員にとって運用生活する上で税務はとても難しく、退職後簡単ではないと痛感して、学習中です。早期退職者は労働収入がない間は、iDeCoと親和性があまりないかもしれません。24年度からの新NISAを優先的に活用すべきですね。
コメント