[雑感]格安SIMの悲劇 -ピクセラモバイルが営業終了

雑談

雑談回です。昨日5/1、ブログ主が自宅で固定回線で使用している格安SIMのサービス終了の案内メールが届きました。突然回線の引越し先を探すことになりました。回線契約の際は、ユーザーとして実効速度と価格しか関心を持っておらず、MVNO事業者が短期間で事業終了をおこなうことは想定していませんでした。そこで、今回、投資家目線も含めて調べたことを共有したいと思います。

ピクセラ株式会社とMVNO事業

6731

ピクセラ株式会社(証券コード6731東証スタンダード)は、TVチューナーを中心としたPCの周辺機器メーカーです。2017年3月頃にIot事業に力を入れるとMVNO事業に後発で参入されました。

当時ブログ主は、自宅の固定回線に1Mbpsが上限のADSLを使い続けていたものの速度は遅く、機器の入手も困難になってきていたたため、NTTの固定電話回線が不要な4G回線に代替を検討。たまたまタイミングが合い、代替として当社の格安SIMサービスを契約していました。当社は一般的な知名度は低いかもしれませんが、PCのチューナー関連の周辺機器ではよく目にしていたメーカーであり、ブログ主は会社の経営状況を確認する発想はなく、信頼性については全く心配もしていなかったです。

何と言っても安かったです。開業記念で「⾼速定額SIM LTE端末セット」を契約すれば、本体代金の大幅割引と月額1,598円で、データ容量無制限につかえています(既に販売終了。3日間で3GBの制限はあるため、実質は20G~30G)。

4G回線を固定回線代替として利用

ちなみに、このセットのLTE端末は4G回線を固定回線で使用するにとても便利で、USBを直接PCに指すか、内蔵Wi-Fiで無線接続もできます。バッテリー不要なのが最大のメリットで、後継機種はこのようなものです。光回線の代替として格安SIMを自宅で長期使用する場合バッテリーがネックになりますが、現在ではバッテリーなしで運用できるポケットWi-Fiタイプも販売されており本機種以外の選択肢も増えています。光回線の速度が不要な方は格安のデータSIMで自宅のインターネットを構築するのも選択肢の一つです。

さらに、ブログ主は、本機のWi-Fi機能を無効にして、ルーターは別に購入しています。ASUSのルーターはUSB端子を備えた下記のような機種があり、アンドロイドのテザリングや本機のようなUSBドングルをルーターに直接接続することで、格安SIMによる標準的なWi-Fi環境が整備できます。

投資家目線でのピクセラ株式会社

突然のネットサービスの終了

このように、消費者としては、速度も十分な、お得なサービスを享受させていただいて何の不満もなく、感謝しかないのですが、昨日5/1、突然格安SIMサービスの終了を案内されました。サービス開始後約6年間で終了です。驚いたとともに残念。

ピクセラモバイル公式ホームページより

赤字部分自動解約で強制終了です。3ヶ月間猶予期間があることは救いですが・・・・。それにしても、唐突だなと思い、会社の状況を確認してみることにしました。

株価の推移

決算概要をみると、何期も連続で営業赤字。現在は、債務超過の状況でした。株価は5年で-98%、バーコード間近です。IR情報を見ると、昨日水星の魔女のために無理にネタにした「転換社債型新株予約権付社債」を何度も発行し、権利行使に関するアナウンスの連続でした。既存の株主よりも、とにかく資金手当のようで、素人目に見ても資金繰り厳しそうです。こんなところで、すぐ転換社債に再会するとは予想だにせず。
サービスを突然、全面的に停止すると案内した背景はこういうことだったのですね。

GoogleFinanceより

構造改革実施の背景について
当社は、これまで、テレビチューナー関連製品を中心に製品展開をしてまいりました。しかしながら近年、消費者の需要はテレビからYoutubeやその他インターネット上のストリーミングサービスへ移行し、テレビ市場の縮小が顕著になり、当社のコア技術であるテレビチューナー周辺ソフトウェアの技術ニーズが大きく低下している状況がありました。需要の減少による業績の悪化をリカバリーすべく、製品ラインナップの整理、製品の魅力を伝えるコミュニケーション戦略や製品デザイン、Webサイトの充実などありとあらゆる対応策を検討・実施するとともに、その時点で最善と考える資金調達を実施してきました。2022年9月期の下半期において、さらにテレビチューナーのニーズの減少がより顕著になったことにより、テレビチューナー関連自社製品の売上の低下、OEM製品の売上の低下がより鮮明になりましたが、半導体の供給状況の改善や新ブランドの成長など、業績改善への兆しもあったことから、2022年10月に、AV関連事業、家電事業それぞれの事業を成長させるための資金調達を実施いたしました。
しかし、株価・出来高の低迷により前回資金調達において発行した第15回新株予約権の行使による調達が全く進んでいない状況が続いており、一方において当社の事業を取り巻く環境は日々悪化しております。

2023年1月28日付同社IRリリース「構造改革の実施に関するお知らせ」より抜粋

株主もでしょうが、IRによると、本社の撤退、役員報酬削減、従業員の40%削減など構造改革の只中とのことで、中の役職員の方は相当大変そうです。部外者があれこれ言うべきものでもないですが。

雑感

昨日2023年5月1日は、米国の銀行破綻のニュースが飛び込んだり、PayPayが、PayPayカード以外のクレジットカードを使用不可にすることがアナウンスされたりと、GW中にも関わらず慌ただしい日でした。環境の変化は予想できなくても、変化を恐れず柔軟に変わっていくことが大切ですね。

コメント